![[shitumunote]](image/pukiwiki.png "[執務ノート]")
| 目次 |
→国家の諸作用を性質に応じて立法・行政・司法というように区別し、
それを異なる機関に担当させるよう「分離」し、相互に「抑制と均衡」を保たせる制度 権力の濫用を防止し国民の権利・自由を守ることを目的として、
国家権力を｢分離｣し相互に｢抑制｣し｢均衡｣させる制度
間接民主制の定義、機能
現代における問題点(議会制の形骸化)
(1)議会制の形骸化とは
→議会の下記の機能が低下したこと
�々埓�を作り､抑制する機能
�⇔�法機能
��審議の機能→世論の喚起→議会を国民代表機関たらしめる
(2)その原因
(3)憲法解釈論上の対策
�，紡个垢訛从�
→行政部のコントロール機能を強化すること
�△紡个垢訛从�
→内閣の法案提出権を認めること
委任立法を認めること
��に対する対策
→｢国民主権｣･｢国民代表｣のとらえ直し
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Ｑ1 前文に法的効力が認められるか ？
Ｑ2 裁判規範性がみとめられるか ？
→否定
(理)前文の内容は抽象的であるから、裁判の判断基準とはできない。
また、
第三章には詳細な人権についてのカタログがおかれているように、
憲法の本文に人権保障のための規定がおかれている。
これをもって裁判規範とすれば足りる。
→国家権力が人間の尊厳を侵す重大な不法を行った場合に， 国民が自らの権利・自由を守り人間の尊厳を確保するため， 他に合法的な救済手段が不可能となったとき， 実定法上の義務を拒否する抵抗行為
→専断的な国家権力の支配を排斥し，権力を法で拘束することによって， 国民の権利・自由を擁護することを目的とする原理
Ｑ 国籍を取得する権利は憲法上の権利か 【17】
→肯定
→(1)国家統治の最終的決定権が国民に存すること、
国家統治の根源が憲法制定である以上憲法制定権が国民に存すること
加えて
(2)実定憲法上の構成的原理
(理)たんに国家統治を正当化する権威が国民に存することにつきると考えるのみでは
国民主権は無内容になるから
(2)はさらに、�‥�治制度の民主化の要請と
��公開討論の場の確保の要請を包摂する
これは 最高裁判所が 規則制定権(§77)･下級裁判所裁判官の指名権(§80)を有し、また
民主的コントロールを及ぼすためには 不適当と思われるものを解任できれば十分である。 また �¬席犬竜�定上も投票者の多数が罷免を可とするとき裁判官を｢罷免する｣とされている(§79-3)
任命行為を完結する制度と考える説、 (批)これでは10年後の再審査を説明できない
さらに国民審査を受ける必要があるか 【21】 (この点、実務上は審査されていない。) →改めて審査が必要(理)
→�“輒箸魏弔箸垢觝枷輯韻法澎�を記載し、 ��罷免を可としない裁判官については何等の記載もしないで投票する方式 この方式では 棄権の自由を認めず、 また 何の記入もせずに投票した者に対しても罷免を可としない法的効果を付与する。
"Ｑ このような審査制度は違憲ではないか
→違憲でない
(理)国民審査はリコールの制度なのであるから、
罷免を可とする者とそうでない者がわかれば十分である。
＊**と×を具体的に書かせる制度は？
より具体的な民意が反映される以上こちらの方が望ましい。"
Ｑ§96の国民投票と§79-2の最高裁判所裁判官の国民審査以外に
法律で直接民主制的方法を規定できるか(ﾘｺｰﾙや国民投票性の立法化の可否) 【22】
直接民主制の制度は統治制度の民主化の要請に合致するとも考えられる
しかし
安易にこれを導入すると少数者の人権を十分保障できず、
また
多数決の名の下に憲法破壊が行なわれることにもなりかねない。
思うに
国民主権が統治制度の民主化を要求するといっても、
ここから直ちに直接民主制的な制度が許容されるわけではない。
これは実定憲法の解釈の枠組みの中で導入できるかどうか決すべきである。
そして、
国政レベルにおいては、
有権者が大規模で組織性が低いという性格、
またこのこととの関連で
憲法は代表制を中心とする原則(前文、４３条)をとっている
ことに鑑みると
憲法に規定のない直接民主的制度は許容されない
せいぜい許されるのは
国民投票の結果が直ちに国会を拘束しない諮問的・助言的なものに限られる
これに対し
地方レベルにおいては、
�｜亙�に密着した事柄であり比較的実質的討論が期待できる
��地方自治制度は国政レベルでの代表民主制を補完するという意義を有しており、
直接民主制的制度により積極的に代表民主制を補完すべきこと、
からすれば、
(制度の内容によるが)一律に禁止されるわけではない
［間接選挙］⇒まず選挙人を選定し、選挙人が候補者から選挙する方式 この方式は、以下の点で、合理性を有するとも考え得る。 ↓ 選挙人の方が政権担当者としての適格者の判断能力が一般に優れている。
→ 否定(佐藤)
(理)§15ｰ1･3、§44に照らし合理性を基礎づけることは困難。
むしろ
許すとすれば明文で規定したはずである。
→認められない
(理)選挙時の民意を反映できず、民意と代表者意思との乖離が大きすぎる
Ｑ定数不均衡を違憲として裁判所に出訴できるか
Ｑ裁判所の救済の可能性
人口変動による調整を放置したため、一票の重みが著しく不均衡になることは
Ｑ14条1項、15条3項、44条の定める平等選挙の原則に反し違憲ではないか ？
思うに
４７条は選挙に関する事項はこれを法律で定めるとするが、
国民主権の実定法上の構成原理としての側面から統治制度の民主化が要請される以上、
立法裁量も無限定なものではなく、
国民の意見や利害を「公正かつ効果的」に国会に反映しうるよう選挙制度を定めることが要請される。
そして、
この公正かつ効果的な民意の反映をなすためには、
平等原則の実現が重要な要素であり、
たんに形式的に一人一票が保障されるだけでは、公正かつ効果的な民意の反映はできず、
各投票価値の平等もまた平等原則は要求している。
ただ、
日本国憲法が二院制を採用していることを考慮すれば、平等原則は総体的な代表選出制度のなかで実現されるべきものである。
とすると
憲法上一定の優越的地位が認められている衆議院においては
国民の意見や利害をきめこまかく反映させるべく
厳格に投票価値の実現を図るべきである。
この点、判例は１：３程度であれば許容しているが
複数投票制が許されないことに鑑みると、
原則として１：２を越えることは許されない
Ｑ 参議院議員についても衆議院議員の考え方がそのまま妥当するか
→否定
(理)各地方ごとの意見や利害を均等に反映させるべく、
投票価値の平等につきある程度緩やかに解することも可能である。
"本問格差は〜であり原則として違憲のはずである。
しかし
本問では〜の事情があるところからかかる場合にも違憲となるか問題となる。
思うに、 人口の変動は不断に生じており、変動の際に定数配分を頻繁に変更するのは実際的ではない したがって 「合理的期間」を経過してもなお不平等の是正がなされなかった場合に違憲となる。
→無効とすべきではない (主文で違法であることを宣言するにとどめる)(行訴§31(「事情判決」)を類推)
(理)もとより
公選法の定数配分規定は不可分一体で全体として違憲である。
しかし
選挙を無効としても
何等事態は改善されず、
かえって
憲法の所期するところに適合しない結果を生ずる。
選挙運動の自由は21条の表現の自由の一環として保障される。
しかし
選挙運動が全く放任されると、腐敗が生じあるいは財力によって不当に選挙が支配されるおそれがある。
そこで、一定の調整が必要となる。
Ｑ いかなる制約であれば許されるか(合憲性判定基準)
→厳格に審査すべきである。より制限的でない他の選びうる手段がない場合に許される(L.R.A)
(理)�〜�挙が本来の意義を発揮するには
有権者が必要かつ十分な判断資料に接することが必要で、選挙運動の自由が保証されることが必要不可欠である また �△海譴�害されると民主政の過程では是正ができない
Ｑ"公職選挙法は選挙に関する記事を掲載した新聞を、その新聞紙が毎月３回以上有償頒布する場合に
通常の方法で頒布することができると規定している。かかる規制は合憲か。
この種の報道・評論は選挙運動としてなされるとは限らないので、 むしろ雑誌社・新聞社の報道の自由として捉らえるべきものである。 そして かかる報道の自由は§21の表現の自由の一環として保護される。 しかし 表現の自由も「公共の福祉｣(§13)による制約に服する。 問題はいかなる場合にその制約が許されるか、その合憲性判定基準である。 思うに 表現の自由は自己実現・自己統治の価値を担う重要な人権であり、かつ これが一度害されると民主政の過程によっては回復不可能である よって 厳格な審査基準による。 したがって、下記の要件の下でその制約が許される。 �ゝ�制の目的が必要不可欠で �⊆蠱覆�実質的合理的関連性を有し �Ｉ�要最小限度であること この点 判例は、選挙目当ての新聞紙・雑誌(いわゆる泡沫新聞)が特定の候補者と結び付き 選挙の公正を害する弊害を除去するためのやむをえない規制であって、合憲とする。 ただ ここにいう「報道・評論」はかかる立法目的からすると特定の候補者の得票について有利・不利に働く虞れがある報道・評論をいうものとする。 確かに 泡沫新聞を除去し選挙の公正を図るという立法目的は正当である。 しかし かかる立法目的を達成するための手段の必要最小限度性がなお問われなければならない。 とすると 本問法律が当該選挙に関する一切の「報道・評論」を規制すると考えると、 泡沫新聞の除去という目的を越えて表現行為を規制する虞れがあり広きに失する。 そして、 判例のように「報道・評論」につき一定のしぼりをかけるにしても、 いかなるものが本法律によって規制される「報道・評論」にあたるのか表現行為の時点で必ずしも明らかにはならず、 表現行為に対し萎縮効果が生じる。 したがって、違憲である
→ 違憲
(理)
個別訪問は自らの意見・政策を有権者に直接説明し、その支持・了解を得るという意味で 選挙運動の自由の一内実として重要である。 とすると 選挙運動の自由に対する規制はLRAの原則により審査すべきである。 そこで まず、規制の目的を考えると 個別訪問により、以下の弊害が考えられる。 �’禺�、利害誘導がおこなわれる、 ��不当な競争により実質的公平を阻害する、 �Ｍ�権者の私生活の撹乱が生じる しかし、 �´△蓮�規制の目的としては正当であるが、 これと個別訪問との因果性について実質的合理的関連性があるとはいえない。 ��は、規制の目的としては正当でない(それ自体では選挙運動を規制する理由とはならない) そして 買収・不当競争の虞れは、他の手段(罰則の強化、法定費用の制限)により達成可能である。
Ｑ 文書図画頒布の制限をなすのは選挙運動に対する不当な制約として違憲ではないか。
→ 違憲
(理)無制約に文書図画の頒布を認めると選挙運動に不当の競争を招き かえって選挙の公正を害するおそれがあるようにも思える。
しかし
文書図画の頒布は自らの意見・政策をひろく有権者に訴える点で極めて重要である。
とすると
選挙運動に対する制限は必要最小限でなければならない。
そして
不当な競争の防止は他に取りうる手段(法定費用の制限等)がある
よって
必要最小限とはいえない。
→ 違憲
(理)常時選挙運動が行なわれると、
�”堙�無用の競争を招き選挙の公正を害する
�△燭困蕕坊佝顱ο�力がかさみ経済上の不平等を帰結する虞れがある
しかし 事前運動の禁止に対しては、 届出前の「政治活動」と「事前運動」の区別が困難であり、 また とりわけこれを禁止することは新人候補にとって不利益に働く虞れがある。 とすると 事前運動を禁止すると不当・無用の競争の禁止という立法目的を越え 新人候補に不当な不利益を課す虞れがあり、 必要最小限度とはいえない。 また 経済的不平等の防止という目的を達成するためには 他の取りうる手段(政治資金の規制等)がある。
(理)国家の機関を選ぶ公務という性格と同時に
選挙制度は法律事項とされている。(§47)
Ｑその際立法府の裁量の範囲
選挙に関する立法について国会の裁量は全くの自由ではない。
むしろ
権利である点を重視し、立法の合理性は厳格に判断すべきである。
Ｑ それでは、在宅投票制度の廃止は違憲か
→違憲
(理)個人の価値は平等であるから、選挙に関する事項は平等原則に則る必要がある。
従って、
身体障害で投票に出かけることが困難な者にとって、
投票現場自署主義は選挙権を奪われる。
本制度廃止の目的は不正の多発を是正する点にある。
しかし
かかる目的は、個別的対応で他姓すべきである。
政党とは→ 一定の政策を掲げ
政府機構の支配の獲得・維持を通じてその実現を図ろうとする
自主的・恒常的な組織団体
政党のはたす機能
国民の政治意思を形成する有力な媒介 かつ 議会制民主主義の円滑な運営を支える
憲法上の地位(Ｑいかなる根拠に基づいているか)
→�ゝ腸饑�民主主義
政党は今日の政治過程の実態に即してみれば、
議会制民主主義円滑な運営を支える重要な存在である。
��議院内閣制
憲法も政党が現実に重要な機能を果たしていることが一般的に自覚されている背景で成立しているので、
憲法が政党抜きに議院内閣制(66-3､67-1､68)を採用したとは考えられない。
�Ｄ樟椶虜�拠規定は→結社の自由(§21)
→許される
(理)政党は政府機構の支配を獲得・維持することによって、国家を指揮することを目指す点において
特別の法的規制をなす必要がある。 → ただし、自由な活動を阻害しないようすべきである。
(理)保護は規制と裏腹であり
また
既成政党の特権化を招く虞れがある。
とくに、
国民の政治意思を形成する有力な媒介としての機能はその自由な活動が保障されてはじめて十分果たしえるから、
政党の有する特殊な地位と
民主主義理念の追求から
党内民主主義の確立が要求される。
しかし
強制力を伴なう形での公権力の介入は許されない。
(理)国民の政治意志を形成する媒介としての機能は
自由な活動が保障されてはじめて十分果たしえるものだからである。 →許容される
(理)政党の有する特殊な地位に鑑みると、
選挙民に情報を提供し政治過程の腐敗を防止する必要があるから
但し、自由な活動を阻害しないようすべきである。
(理)国民の政治意志を形成する媒介としての機能は自由な活動が保障されてはじめて十分果たしえるものであり、 →できない
(理)憲法が政党につき明文で定めがない。
これは、自由な活動をできるだけ保護する趣旨である。
いかなる政党がこれにあたるか不明確であり、濫用の危険が大きく、政党の自由な活動を阻害する。
また、
政党の目的それ自体を理由として何等かの措置を構ずることは思想・良心の自由と相容れない。政党の直接の憲法上の根拠は２１条に求められ、 政党は政府機構の支配の獲得・維持を通じて 国家を指揮することを目指す点において 結社のなかでも特殊な地位を有する。 しかし、 政党につき憲法が直接これを規定せず ２１条の結社の自由として保障されるとしたのは、 自由な活動により国民の政治意志を形成する媒介としての機能を果たさしめようとしたところにある。
とすると、 政党に対しては、高度の自主性と自律性を与えて 自主的に組織運営をなしうる自由を保障しなければならない。 公権力がみだりにこれに介入することは、政党の自由な活動を阻害する虞れがある。
したがって、 政党が党員に対してした処分が 一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、 裁判所の審判権は及ばない また、 一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、 右処分の当否は、当該政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの 特段の事情のない限り、 その審査も、適正な手続に則ってなされたか否かに限られる。
Ｑ 党議拘束によって議員が党の指示に従って行動すること(Ｑ§43の｢全国民の代表｣に反するのではない)
(問題の所在)
43条の「代表」とは→自由委任をいう。すなわち、議員は選挙母体等には拘束されない。
これは、
国民の意見・利害を統合し統一的な国家意志形成を行なうために
各議員の自由な討論を確保する必要があるから、
→反しない
(理)国民主権(1条)は統治制度の民主化を要請する。
∴事実上国民の意志が国会に反映されることも要求する。
そして
政党は国民の政治意思を形成する有力な媒介としての機能を有する。
政党が行動綱領を掲げて選挙を争い、議員がその行動綱領を実現するため党議にしたがって行動することもまた必要である。
Ｑ 政策・方針と相容れない行動をしたときの責任追求として、政党から除名すること
→許される(§51に反しない)
(理)�〃�法は政党の存在を当然に予定しており、
議員は選挙に際し所属政党の公約を支持することによって 全国民を代表することを表明するのであるから、
政党の除名という形の責任追求も憲法は予定している。
また
�△海譴論�治責任の追求にとどまる。
Ｑ 政党の除名により議員資格を喪失するとすること
→43条に反する
(理)政党を除名されたとしても、選挙によって選ばれた｢全国民」の代表者であることにかわりがない。
また、
→51条に反する (理)議員資格喪失という法的責任を問われるから
比例代表においても同じ
(理)全国民の代表者である
法的責任を追求している
Ｑ ｢全国民｣の「代表」とした趣旨
→ 民意の統合を可能とするために、妥協を可能として、統一的な国会意思形成をなさしめるところにある。
Ｑ「全国民を代表する…議員」(§43)の意味 【30】
→議員が特定の選挙母体の意思には拘束されないこと(自由委任の原則)
政治的代表 → 国民は代表機関を通じて行動し，代表機関は国民意思を反映するものとみなされるという趣旨の政治的な意味
Q 党議拘束は自由委任の原則に反しないのか。
Q 比例代表制は自由委任の原則に反しないか
比例代表制は有権者は政党に投票し、得票率に応じて政党に議席を割り振られる。
ということは、議員たりうるには、政党員でなければならないとも考えられる。
とすれば、当選後に政党を離脱した者は議員たり得ないとも考え得る。
しかし
→喪失しない
(理)議員の資格喪失という法的効果はあくまで憲法上の自由委任の原則に反する。
特に、政党を除名された場合に右のような法的効果を結びつけるなら、
党員への不当な拘束のおそれがある。
また
党が選挙時から政策を転換した際、本来の政策を実現するため党を離脱する道を議員に認める必要もある。
→国会が国政の中心的地位を占める機関であることを強調する意味
Ｑ 趣旨
→国民の代表機関である国会を通じて行政権の行為を規律し、行政に対する民主的統制を確保し、 もって人権保障を確保する点にある
→国会による立法以外の実質的意味の立法は，憲法の特別の定めがある場合を除いて許されない(立法権の独占)
§｢国の立法｣の意味(条例の位置づけ)【32】
条例に基づいて罰則を課すことができるか
§41「立法」の意義【33】
→ 一般的抽象的法規範をさす
(理)これを法律のこととすると、国会の定立する法が法律である以上同義反復になり、意味をなさない。
また
国民の権利・義務を定める法規範に限定する見解もある。
しかし
民主的責任行政の確保のため、行政組織についても法律で定めうる解釈を取るべきである。
Ｑ 憲法を直接実施するための政令(§73��)が認められるか【34】
→認められない(「憲法及び法律」とは、一体として把握すべき)
(理)もしこれを認めるなら内閣に立法権を認めるも同然の結論になる。
Q 委任命令は認められるか【35】
→認められる
(理)罰則すら法律の委任があれば制定しうる(§73�γ�)
しかも
専門的・技術的必要性から、一定の事項の定めをかかる知識に優れた内閣に委任することは合理的ですらある。
Q いかなる条件で認められるか【35】
→�＾冉い猟�度は個別的・具体的であること
��罰則の委任は、立法の目的、概括的構成要件、刑の範囲が定められること
(理)無条件にそれを認めるならば、国会中心立法の定めを無意味になるおそれがある。
また
罪刑法定主義(31条)の要請から
Q 再委任は許されるか【35】
→やむを得ない合理的理由ある場合に限って認めうる。
この際にも、受任者の裁量の余地が厳しく限定する事が必要である。
(理)再委任は、委任者である国会の意図の隔絶が大きくなるから、本来望ましいことではない。
※人事院規則の問題点
→国会による立法は，国会以外の機関の参与を必要としないで成立する(立法手続の独占)
(理)立法過程の核心は、法の審議・可決の点にあるので、法案提出権はその前提に過ぎない。
Ｑ 国民発案制が認められるか
議院規則(§58-2)と国会法の優劣
Q1 規則の所管事項を法律でも定めうるか
Q2 両者いずれが優先するか
裁判所規則と法律との関係
Q1 規則の所管事項を法律でも定めうるか
Q2 両者いずれが優先するか
両院制の問題点
存在理由 【37】
憲法上衆議院の優越が明示されていない場合には両院は対等か 【38】
１ 会期不継続の原則 → 各会期は独立して活動し， 会期中に議決されなった案件は後会に継続しないとする原則
Ｑ 根拠【39】
２ 一事不再議の原則
Ｑ 根拠【40】
任期満了前に 議員の身分を失わせる行為(§41但)
(1) 立法権に対抗する手段を行政権に与えて、議会を牽制し (自由主義的機能)
(2) 解散に続く総選挙によって、民意を国会に反映するため (民主主義的機能) (1)自律解散説
(批)多数派議員の意思によって少数派議員の身分を失わせる結果となる
(2)他律解散説
�� 天皇説 ×
�� 内閣説 **
(理)本来衆議院の解散は政治的行為である。
しかし、
天皇が解散なしうるのは、内閣の助言と承認によって実質的判断を内閣が行っているからである。
Q §７は内閣説の根拠となるか
Q 衆議院の解散行為が天皇の国事行為とされている理由
Ｑ２ いかなる場合に行使できるか
Q §69に場合に限定されるか(§69を解散権の根拠とし、国会が不信任決議をなした時に限定する見解の当否) → 否定(通説) (理)
解散は権力分立の抑制手段としてばかりではなく、
国民の信を問う制度としての民主主義的契機も併有する。
従って、
内閣が自発的に国会を解散できる場合がある。
Q それなら いかなる場合に解散できるか
→�〜�挙の時に問題にならなかった重大問題が生じたときや、
��内閣と国会が対立し、責任ある政策形成ができなくなったとき
(争点の分布)
Q2 行使の要件 Q1 実質的決定権 根拠条文 理由
┏━━━━━┓
┃69条限定説┃ ┌────────────┐
┗━━━━━┛ │天皇の解散は │
(解散主体は内閣のみ) ┌─┤元来形式的なものとする説│
│ └────────────┘
┏━━━┓ │ ┌─────────────┐
┏━━━┓ ┌─┨7条説 ┠─┤ │解散は元来政治的なものだが│
┌┨内閣説┠─┤ ┗━━━┛ └─┤助言と承認を通して │
│┗━━━┛ │ │内閣に解散権が帰属する説 │
│ │ └─────────────┘
│ │ ┌───┐
│ │ ┌┤65条説│
┏━━━━━━┓│ │ ┏━━━━━┓│└───┘
┃69条非限定説┠┤ └─┨7条以外説 ┠┤┌──────┐
┗━━━━━━┛│ ┗━━━━━┛││議院内閣制説│
│ └┤権力分立制説│
│┏━━━━━━┓ └──────┘
└┨自律的解散説┃
┗━━━━━━┛
(まとめ)
解散権の所在→内閣が実質的解散権を持ち､
解散権の要件→ 政治的裁量によって解散権を行使できる
69条に定める場合に限らず､
衆議院が国民の意思を反映しているかどうかを
確かめる必要があればよい (通判)
(理)
もともと解散権は、立法部と行政部との間の抑制･均衡をねらいとする｡(自由主義的機能)
行政部が自分の意にそわない立法部に対抗して行使するもの｡
そして､伝統的には､議会優越型の議院内閣制こそ､より民主主義的だと考えられてきた。
その点からすれば､解散権を行使する場合を限定した方がよい｡→§69条限定説
しかし
解散権は､民意による政治的争点の選択の場を確保する制度としても考えられる｡(民主主義的機能)
ならば､
§69に限定されずに解散権を行使できることが政治的にも望ましい→§69非限定説
→国家が活動するための財力は国民が負担するものであり、財政の適正な運営は国民の重大な関心事であるから、
国の財政処理はすべて国民の代表機関たる国会の民主的統制に服させる
制度趣旨→租税賦課の国民生活に与える影響の重大であるため、特に国会による「民主的統制」を及ぼす点にある
Q ｢租税｣ → 国または地方公共団体が、その課税権に基づいて、
その使用する経費に充当するために、強制的に徴収する金銭給付
法的性格 【46】
→法律ではないが、政府の財政行為を規律する法規範
(理)憲法は財政民主主義を掲げ(八三条)財政に民主的コントロールを及ぼすべく、
予算には国会の議決を必要とされている。
このような憲法の趣旨に反しないため、予算には法的拘束力を認めるべきである。
予算を法律とみる見解もある。
しかし、
予算は内閣が作成するし、
法律とは議事手続が異なる点が多い。
一会計年度限りの効力しかないなど、法律と解するにはあまりに特別な要素が多すぎる。
Ｑ いかなる限度で認められるか
�仝些杤だ帰�無制限
�∩�額修正→制限あり(同一性を損なうような修正はできない)
(理)予算に相当する財源が必要である。
�〕住擦�あって法律がない場合
法律がない以上、内閣は何もできない
従って
内閣は予算の執行のためには国会の法制定を待つしかない。
�∨［Г�あって予算がない場合
内閣は法律を誠実に執行する義務あるはずである。
すなわち
法律にあわせて予算は作成されるべきである。
従って、
内閣は法律の施行のため予備費の支出、補正予算を組むなど対策を講じるべきである。
趣旨→公費の濫費を防止し、
慈善事業等の営利的傾向ないし公権力に対する依存性を排除すること
公の支配に属しない団体への公金支出は禁止されている(八九条)
Ｑ §89「公の支配」とは 【45】
「公の支配」の支配の程度
→ 公金の濫費を防止できる程度の監督・コントロールを及ぼすこと
(理)§89の趣旨は公の支配に属しない団体に公費を支出することで、公金が濫費されることを防止することである。
Ｑ 幼児教室への公金支出*1
Q1 幼児教室の経営は｢教育の事業｣(§89)にあたるか。
→ あたる
(理) もとより、本件幼児教室は学校教育法にいう幼稚園にはあたらない。
しかし、
幼稚園とほぼ同じように教育をなしている。
「教育の事業」に当たるか否かは、人を教え、導くことを目的とする継続的活動であるか否かによって判断すべき。
とすると、
ここに八九条の趣旨は、公金の濫費を防止する点にある。
従って、濫費を防止しうる程度の支配を及ぼせる団体に対しては、公金支出をなしてよい。
本件幼児教室には公の利益に反する支出が行われないよう、個別の指導・管理がなされている。
従って
かかる幼児教室への公金支出は合憲である。
特にかかる幼児教室は本来公権力がなすべき教育の事業を(§26参照)代わって行っているものである。
かかる教室に公権力が補助をなすことは公の利益に沿う。
→各議院が他の国家機関や他の議院から監督や干渉を受けることなく， 内部組織及び運営等に関し自主的に決定できる権能
┏━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃自 主┃ �� 議長･役員選任 (§58-1) ┃
┃ ┃ �� 議員資格争訟の裁判 (§55) ┃
┃組織権┃ �� 議員逮捕許諾･釈放要求(§50) ┃
┃ ┃ �� 議員辞職の許可 (国会§107) ┃
┣━━━╋━━━━━━━━━━━━━━━━┫
┃自律的┃ �� 議院規則制定 (§58-2) ┃
┃ ┃ �� 議員の懲罰 (§58-2) ┃
┃運営権┃ �� 議長の秩序保持 (国会§114) ┃
┗━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━┛
→各議院の自律的運営・自治的運営を保障すること
Ｑ法的性質
→国会の権能を効果的に行使するための補助的権能
(理)国政調査権は諸外国の立法例を継承したものであるから、特別な理由がない限り同様に解すべきである。
そして、
そこでは議院の権能を効果的に行使するための補助的な権能である
Ｑ行使の限界
このように解した場合、
国会の権能は国政のうちでも多岐に及ぶから、
国政調査権の及ぶ範囲は国政のほぼ全範囲にわたる。
但し、
権能の行使に役立つ限りでしか調査できない
(1)司法権の独立との関係
裁判所には、司法権の独立が憲法上保障されている(七六条、七八条等)
国政調査権といえどもかかる司法権の独立を侵すことは許されない。
従って、
現に進行中の事件について、訴訟指揮の当否を調査する目的で行う国政調査は許されない。
また、
裁判進行中と否とに関わらず判決内容の当否を判断する国勢調査は許されない。
(理)判決確定後でも、国勢調査を裁判内容に及ぼせば、
将来の同種の事件における裁判所の判断に不当な影響が及ぶ可能性があるからである。
一方、
裁判所と異なる目的から裁判と並行調査を行うことは許される。
(理)司法権の行使に不当な影響を及ぼす危険性は少ないからである。
二重煙突事件(刑事事件の訴訟進行中に検察官に報告書の提出を求めた)
Q 公訴機関が裁判官に予断を発生させる行為ではないか
→ 否定
(理) かかる報告は新聞紙上の事件の報告と同様である。
(2)行政権との関係
行政権に対しては、広範な調査をなし得る
但し、
検察事務は、準司法作用であるから、かかる作用には司法権に類似する独立性を保障する必要がある。
従って、
起訴不起訴について政治的圧力を加えるような調査はもちろん、
起訴事件に直接関係する事項や公訴追行、捜査の続行に支障を及ぼすような方法による調査は許されない
Ｑ制度趣旨
→政府によって議員の職務執行が妨げられることの防止
さらに
議院の審議権を確保すること
Ｑ逮捕許諾･釈放要求にあたって､条件･期限を付すことができるか 【52】
同条の趣旨は
→議員の自由な言論活動を保障し、もって議院の自律性を確保しようとすること
Ｑ 右特権の対象となる行為
→� �51所定の行為 + ��議員活動に付随する行為
(理)上記の趣旨から
Ｑ では、免責特権の範囲内か否かについての判断権者は国会か裁判所か
→裁判所
(理)もともと、法令を解釈する権限は裁判所にある
そして
免責特権は、国会議員に認められた一般的国民と異なる例外的取扱である。
それだけで例外的な取扱である以上、これ以上新たな特権を国会に認めるべきでない。
Ｑ 65条「行政権が内閣に属する」とする趣旨
→§41、§76-1と相まって、権力分立制表明し、 国会に対して連帯して責任を負う内閣に行政権を集中させることで 民主的責任行政を確保すること
※ 内閣総理大臣→内閣という会議体の首長
→議会による政府の民主的コントロールを本質的要素とする
(理)もともと、相互抑制によって均衡を保ちながら協働の関係にあることをその本質としていた。
しかし、
現代に至るまでに議院内閣制は様々な形で変容を受けている。
その上で
他国の議院内閣制の立法例を比較し共通する要素を分析して考えるべきである。
Ｑ1 存在自体の合憲性(行政権の帰属の問題)？
Ｑ2 準立法作用を行うことは合憲か (委任立法の可否の問題)？
七三条六号但書では、罰則すら法律の委任があれば制定しうる。
しかも
専門的・技術的立法の必要性から、
一定の事項の定めをかかる知識に優れた内閣に委任することは合理的ですらある。
従って、委任立法は憲法上認められる
しかも、
技術的専門的知識を有する委員会が、かかる知識を要する立法を制定することは、適任である。
Ｑ準司法作用(独立行政委員会の裁定作用)を行うことは合憲か？
→合憲
(理)終審でなければ行政機関も裁判してよい(§76-2反対)
独立行政委員会の裁定について不服があれば普通裁判所に対して提訴できる。
しかも
まず専門的知識を有する委員会が一次的に判断をなすのは合理的である。
Ｑ独占禁止法が実質的証拠法則を定めていることは合憲か。
［実質的証拠法則］⇒ 公正取引委員会の認定した事実認定について、
内容を証明する実質的証拠がある場合には、
その事実認定に裁判所が拘束されるとするもの
Q1まず、事実認定は司法権の内容か ？
→肯定
(理)結論が事実認定の如何によって左右されることからして、
とすると
Q2 司法権は全て裁判所に属するとする§76に反するのではないか ？
→反しない
(理)専門的知識が豊富な委員会の事実認定に、そのような知識に乏しい裁判所が拘束されるとすることは合理的である。
しかも、
裁判所が実質的な証拠の有無を判断できるから、
裁判所には自ら拘束されるか否か決定する自由が留保されている。
→�／欺鼎柄閉匹涼簡�
及び
��内閣総理大臣の首長的地位の確保
象徴→抽象的・無形的・非感覚的なものを具体的・有形的・感覚的なものによって具象化する作用ないしその媒介物
※日本国憲法における元首
天皇の象徴としての行為が認められるか
天皇が国会の開会式に出席して｢おことば｣を述べる行為の合憲性 【57】
内閣に助言と承認は常に両者が必要か｡また､それぞれにつき閣議が必要か｡【58】
→�（�権(中央の統一権力の強大化をおさえて、権力を地方に分散させる)
��代表民主政の補完(地方の住民の意思を反映させる)
→伝来説+制度的保証説
地方自治の存在意義は、中央政府との抑制均衡という自由主義的意義と、
民意の反映という民主主義的意義にある。
そうであるなら、
「地方自治の本旨」とは、下記を意味する。
→�｜賃亮�治(中央とは独立した団体が地方を治めること)
�⊇嗣閏�治(地方の行政が住民の意思によってなされること)
【論点】地方自治の保障の性質
地方自治制度の保障は間接的に人権保障を行うための、制度的保障である。
(理)地方自治を保障すれば地方の実状にあった施政を行えるし、
権力を地方に分散させることで、権力の濫用を防ぐことができる。
そして、
かかる制度的保障の核心が「地方自治の本旨」である。
かかる地方自治の本旨の内容は
団体自治・住民自治の二つの内容からなる。
その中心は住民自治にあり、
住民自治の実現を補償するものとして、団体自治が保障される。
→事実上住民が経済的に密接な共同生活を営み、
共同体意識を持っているという社会的意識が存在し、
相当程度の地方自治の基本的権能が付与された地域団体のことをさす。
ここに、特別区は市の性格をも併有した独立地方公共団体の一部といいうる。
この点をとらえるならば、特別区は憲法上の地方公共団体とは認められないかにみえる。
とすると、Q 特別区には地方自治の保障が及ばないのか？(Ｑ 特別区は普通地方公共団体か)
保障が及ぶ
(理)通常国民には都道府県レベルと、市町村レベルの２段階の地方自治が保障される。
にもかかわらず、特別区の住人に対してのみそのような保障が及ばないとするのは妥当でない。
条例→地方公共団体がその自治権に基づいて制定する自主法
(1)財産権･租税賦課
憲法上財産権の内容及び租税附加に関する規定は法律で定めなければならない。
Ｑでは、条例で右のような事項を定めることはできるのか。
→できる
(理)右両事項が憲法上法律事項とされたのは、
国民代表機関たる国会の制定する法律にかかる内容をかからしめることで、
国民の権利が不当に侵害されることを防ごうとした点にある。
ところで、
�‐鯲磴話亙�議会によって定められる、民主的基盤を有する自治法である。
すなわち
条例は準法律的性格を有するから、条例によってかかる事項を定めることは憲法の趣旨に反するものではない。
��特に地方自治を強固にするためには自主財源の確保は不可欠であるから、
条例に租税附加をなし得る権限を与えることは特に重要である。
(2)罰則(§31 など)、条例で罰則を定めることは許されるのか。
罰則は国民の人権を強度に侵害するものであるから、条例で無制限に定めうるとすることはできない。
すなわち、罰則を定めるには、法律による授権は必要である。
しかし、
条例は民主的基盤を有する自主的立法であり、準法律的な性格を有する。
従って、
法律による授権は、相当程度に具体的な委任であれば足りる。
そして
地方自治法は右程度の罰則制定の委任をなしている。
従って
条例で罰則を定めることは憲法上問題ない。
【論点】法律の範囲内の判断方法
条例は法律の範囲内で制定されなければならない(§94後段)
それでは当該条令が法律の範囲内か否かについて、いかに判断すべきか。
かつては、
法律が定めた事由については条例は改めて制定できないとする法律先占論が唱えられていた。
しかし、これはあまりにも硬直した解釈である
思うに、
憲法が地方ごとのきめ細かな政治を実現するため条例制定権を地方自治体に与えた趣旨を生かし
従って
単に条例と法律の法文を比較対照するだけではなく、
それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較した上で、
両者に矛盾抵触があるか否かをもって判断するのが妥当である。
例えば
�，△觧�項について法律が既に法が定立されている場合でも、
その法が別段の規制を許す趣旨である場合は、条例を制定することは可能である。
また
そうでないとしても条例が法律の目的・効果を侵さないならば条例制定は可能であろう。
�∨［Г�なくても、それが規制をせずに放置する趣旨であるなら、
条例制定は不可能である
(1)法原理機関 【68】
(2)合憲性の統制機関
→具体的な争訟について，法を適用し，宣言することによって，これを裁定する国家の作用
�）仝桐�機関性 �⊆�己決定原則(代表の理論) ��デユープロセス論 �だ萠禮澗�性の原則
司法権を通常の裁判所に一元的に帰属させ、 公正な裁判を通じて基本的人権の保障を確実にしようとするため
Ｑ 制度趣旨
→司法権を裁判所に統一的に帰属せしめ、すべての国民に裁判の平等及び公正を保障すること
Ｑ 特別裁判所(§76-2)とは【74】
→特別の人間または事件について裁判するために、
通常裁判所の系列から独立して設けられる裁判機関
Q1 制度趣旨
→ 裁判所での審理と判断を国民の目にさらし、司法の不公正・独善を防止することにある
Q2 ｢裁判｣(§82)の意味(公開を要する裁判とは)【79】
(1)純然たる訴訟事件説(判例)→終局的に事実を確定し、
当事者の権利義務の存否を確定することを目的とする裁判手続
この結果、§82と§32により、上記争訟について公開と対審・判決による裁判を受ける権利が保障される。
(批) 純然たる訴訟事件と非訟事件の区別は明確でない。
しかも
裁判行政作用が増加しているのに、非訟事件への配慮を欠ける。
(2)事件の性質・内容にしたがって個別的に判断すべきである。
(裁判においても常に対審・公開を要求する必要はない。
制度趣旨
→裁判が公正に行われ人権の保障が確保されるためには、
裁判官は、いかなる外部からの圧力や干渉も受けずに、公正無視の立場で職責を果たすことが必要である。
しかるに 司法権は非政治的権力であり、政治性の強い立法権・行政権から侵害される危険性が大きい。 そこで 政治的権力からの干渉を排除するためである。
→裁判官が，いかなる外部からの圧力や干渉も受けずに，公正無私の立場で職責を果たすこと
�／畔�保障 下級裁判所裁判官の再任制(§80-1後)
制度趣旨 → 司法府の独善化を排除するため
Q §80-1｢再任されることができる｣の意味【78】
→不適格者であることが客観的に明白である場合でない限り、再任される。
(弾劾事由がある・心身の故障に基づく職務不能など)
(理) 裁判所は人権を保障する役割を担っているから、
判断者である裁判官の身分は厚く保障されなければならない。
そのような要請に適合するよう再任されなるのが原則である。
Q 再任にあたり、指名権者は裁量を加えることができるか
�⊃Ω�行使の独立
Q 裁判官の「良心」とは
１ なぜ必要か
２ いかなる手段が考えられるか
(1)裁判の公開(§82)
(2)国民審査制度(§79)
�＼�度趣旨 →最高裁判所裁判官に対し、国民による民主的コントロールを及ぼすこと
�¬簑蠹�
(3)弾劾裁判制度
(4)陪審制【77】
→国民から選任された陪審員が，正式起訴をするかを決定したり，審理に参加し表決したりする制度
→§98-1｢憲法の最高法規性｣を担保し、
憲法上の権利の保障ならびに憲法規範の一般的保障を行うため
→付随的審査制(具体的事件の判断にあたって違憲審査権を行使するにすぎない) (理)� �81は｢司法｣の章に定められている。
司法は具体的事件の存在を前提とする概念である。
��抽象的審査制を積極的に認める条文が憲法上存在しない
Ｑ司法消極主義ＶＳ司法積極主義【83】
法は国民代表機関たる国会によって制定される。
一方、
裁判所は制度上国民からもっとも遠いところにいるから、
裁判所は国会の立法を原則尊重しなければならない。
しかし、
精神的自由権・選挙権については、民主制の過程の一部をなすので、
いったん制約されると回復されがたい。
しかも、精神的自由権に至っては、少数者の人権が侵害されやすい。
従って、
かかる権利を制約する立法は、裁判所は積極的に違憲審査しなければならない。
→国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為で， 法律上の争訟として裁判所による法律的な判断が理論的には可能であるのに， 司法審査の対象から除外される行為
Q 認められるか
→肯定
(理)司法権は独立が保障されているから、裏を返すと、国民に政治責任を負いえない立場にある。
そこで、国家の命運を左右する行為については、政治的責任を負えない裁判所は判断すべきではないという
内在的制約が存する。
Q 常に認められるか
→否定 �‖召遼〕�によって説明できるときには他の法理を使うべきである。
(理)司法権の例外を明文の根拠なく安易に認めるべきではない
�∪鎖静�自由権・選挙権の侵害を争点とする事件の場合には適用すべきではない
(理)右は民主政を支える権利であるから、不当に制約された場合に
民主政の外にある裁判所でないと回復しうるものではないからである。
安全保障条約(砂川事件)
事案 基地反対派のデモ隊の乱入 → 安全保障条約の合憲性
判例は、安保条約は高度の政治性を有するものとしながら、一見極めて明白に違憲無効でない限り判断できないとした。
統治行為に当たるならば一切判断をできないはずである。
右のように判断しうる可能性を認めた本判決は、統治行為と、内閣、国会の裁量の問題との中間をとった判例ということができる。
具体的検討
Q地方議会(議院に対する出席停止の懲罰議決の効力)
思うに、
地方議会は憲法が地方自治の本旨として認めた団体自治の担い手である(九二条)。
従って、地方議会の自主性は尊重されるべきであるから、
純粋な内部事項については、裁判をまつを適当としない。
出席停止処分は
団体の構成員への懲戒権の行使として、まさにそれに該当する。
富山大学事件(学生の単位・専攻課終了不認定処分)
大学は憲法上自治的運営が認められている(二三条)。
従って、
大学内部の運営については自律的判断が尊重されるべきであり、
純粋な内部事項については司法審査は差し控えるべきである。
本問にいう
単位授与行為は、教育上の措置であり、純粋な内部的事項といえる。
従って、その当不当に対して司法審査をなすことは許されない。
しかし、
専攻科終了の不認定は、大学の利用拒否といえる。
国民は公の研究施設として、大学を利用する権利を有するから、
大学の利用拒否は一般市民として有する権利の侵害といえる。
したがって、専攻化終了の不認定は司法審査の対象となる。
憲法と条約の関係
まず、前提として、条約はそのものが国内法的効力を持つものがある。
従って、条約とその他国内法とは一元的な関係にある。
このように考えると、両者に矛盾抵触するする可能性がある。
では
Q1 条約と憲法は形式的効力はどちらが優先するか
→憲法優先
(理)�‐鯡鹹�結・承認権を授権したのは憲法である。
授権規範が下位規範であるとすることは論理矛盾である。
��簡易な手続で憲法を改正する手段を認めることはできない。
右を前提として、
Q2 条約を違憲審査の対象とできるか。
→できる
(理)もとより、八一条からは意識的に条約が除かれている
しかし、 それは条約が国家間の合意たる特殊性の故からである。 また 政治的内容を持つものが多いとしても、 それは統治行為など他の法理で対処すべき問題である。 あくまで 憲法の最高法規性を貫くべきである。
刑§230の名誉毀損罪は自己の表現の自由を萎縮させる故に違憲であるとして提起できるか【84】
Ａは貨物を密輸出しようと企てたが､これが発覚し､関税法違反として第一審で
有罪の判決を受けるとともに貨物を没収された｡
ところがこの貨物の中にはＢの所有物が混じっていた｡
Ａは本件の没収は､Ｂに手続的保障を与えないで没収したもので､
Ｂの権利を侵害する違法のものであるとして争うことができるか｡【85】 Ａは表現の自由を制限する法律(甲法)に違反するとして起訴された｡
Ａの行った行為は明らかに甲法が禁止する表現活動に該当するものであり、
Ａに甲法を適用することに憲法上の疑義はなかった｡
この場合に､Ａは､甲法は規制が広汎にすぎ､第三者の活動を不当に制限する
ものであるとして､甲法の違憲性を主張できるか｡【86】 ＡはＢ大臣に対し､皇居外苑をメーデー会場として使用するため､使用許可申請を
行ったが､不許可処分が下され､その取消を求めた｡
第一審では同処分の取消が命じられたが､控訴審の係属中にメーデー当日が経過
した｡控訴裁判所のとるべき処置如何｡【87】
表現の自由は、
１．個人の人格の形成・発展(自己実現)にとって、また、
２．立憲民主政の維持・運営(自己統治)にとって重要な権利であり
「優越的地位」を有する。
３．経済的自由の規制の場合は社会・経済政策の問題が関係することが多く
政策の当否について審査する能力の乏しい裁判所としては立法府の裁量を承認さざるをえないが、
精神的自由の場合は審査能力の問題は大きくない。
とすると、
表現の自由を制約する場合、
１．合憲性の推定原則が排除され、
２．「合理性」の基準による規制は一切許されず、
表現の自由を守るに足る厳格な客観基準により判定し、
３．表現の類型に応じた考慮が必要である。
検閲→表現行為に先立ち
行政権が
その内容を
事前に審査し
不適当と認める場合にその表現行為を禁止すること
判例理論→行政権が主体となって、
思想内容等の表現物を対象とし、
その全部または一部の発表の禁止を目的として、
対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に発表前に
その内容を審査した上、
不適当と認めるものの発表を禁止すること
｢検閲の禁止｣は例外を許さない絶対禁止である。
(理)§21-2その歴史的経緯に鑑み特にこれを禁止しているから
そこで、
まず、｢検閲｣に該当しないかを検討する。
次に事前抑制禁止の法理に反しないかを検討すること
事前抑制→表現行為がなされるに先立ち
公権力が
何等かの方法で抑制すること及び
実質的にこれと同視できるような影響を表現行為に及ぼす規制方法をいう。
これは、情報が「市場」に出る前に抑止するものであり、
手続上の保障や実際上の抑止効果において事後規制の場合より問題が多いから、
21-1の「表現の自由」の保障の重要性に鑑み認められる
これは例外を絶対に許さないものではない
では、いかなる場合に許されるか
→下記の場合には例外として認めてよい。
�」鶲嫖�な行政裁量が働く余地がない場合や
��適正な司法手続を通じて行なわれる場合には
(理)この法理は手続上の保障や実際上の抑止効果において
事後規制よりも問題が多いから認められる
これは、内容規制ではなく、表現の時、場所、方法規制の場合に有用である。"
目的は正当と認められる場合に用いる必要最小限度の規制手段を要求する基準である。
→厳格性の緩和された判断基準による(理)営利的言論は
１．国民の健康や日常生活に直接影響するところが大きく、
２．その真実性は政治的言論と違い客観的判定になじみやすく、
３．萎縮効果をおそれる度合が少ない
しかも、不当な制約がなされても、
民主制の過程が破壊されるわけではなく、回復可能性も高い。→例外 厳格な審査基準による場合もある(広告禁止等のように言論の直接的禁圧となる場合)
Ｑ後者は前者に比較して緩やかな基準を持って判断してよいか
→否定
(理)�［昭圓鯡棲里剖菠未任�ない場合がある
��表現を全うするには、表現手段もまた重要な要素をしめる
にもかかわらず
後者に緩やかな基準を用いるならば、
表現の自由を実質的に保障することは不可能となるおそれがある。
積極目的規制→主として国民の生命および健康に対する危険を防止もしくは除去ないし緩和するために課せられる規制 積極目的規制→福祉国家の理念に基づいて、経済の調和のとれた発展を確保し、とくに社会的・経済的弱者を保護するためになされる規制
→憲法判断は事件の解決にとって必要な場合以外は行わないという必要性の原則に基づいて
準則化された一連のルール
職権による違憲審査の可否【94】
立法事実 【99】 →個別的効力しかない
(理)もし、法令が客観的に無効になるならば、
裁判所が消極的立法作用を営む結果となる。限界 【103】
憲法判例の拘束力
限界があるか(Ｑ改正手続に従いさえすればいかなる条項も改正できるか)【10】
(1)否定説
(2)肯定説
�）ー他攫腟租�肯定説
�⊆�然法的限界説
憲法改正権は制憲権に創設された権利である。
従って、
論理的には、自己の存立基盤を変更することは許されない。
前文においても人類普遍の原理に反する憲法は排除されるとしている。
Ｑ いかなる点に限界があるか(｢根本規範｣が何であるか)
�々駝閏膰△慮桐�
(理)これは憲法制定権の主体(ないしその所在)を変更することを意味する。
ところで
改正権は制定権によって根拠づけられる。
となると
憲法制定権の主体(ないしその所在)を変更することは
憲法改正権を根拠づける基礎がなくなるから
��基本的人権尊重の原理
(理)人権保障を欠いては国民主権は成立し得ない。
国民主権は変更し得ない以上人権保障もまた変更し得ない
�Ｊ刃村腟�
ｑ 改正手続規定を改正できるか(特に 改正禁止の定めがある条項を改正できるか)
→否定
(理)改正規定は憲法制定権に基づく。
改正権者が自己の行為の根拠となる規定を同じ改正規定に基づいて
改正することは法論理的に不可能
(2) 実質的には→文書による国家間の合意で
国家間の権利義務を定めるもの ↓
�� 全権委任状の授与
↓
�� 交渉
↓
�� 調印
↓
�� 批准
↓
�� 批准書の交換･寄託
(1) §73-5の立法趣旨(Q 何故に国会の承認を要するとしたのか)
→国の対外的作用に対して国会の民主的統制を及ぼすこと
(2) どのような条約が国会の承認を必要とするか(Q 全ての条約に国会の承認が必要か)
→1(2)のみ
｢承認」が不要なもの→�� 既存の条約の実施細目を定めた文書
�� 日常的事務的文書
(理) このような文書は｢外交関係の処理｣(§73-2)として、内閣のみの権限によって処理される｡
(2) 承認の時期 → 条約が確定する時期(��OR��)の「事前又は事後」(§73-5))【42】
Ｑ内閣はいつ国会の承認を求めねばならないか
�� 裁量説 ×
�� 事前(原則)説 **
Ｑ 例外的に事後承認が許されるのはいかなる場合か
→緊急やむを得ない場合のみ
(3)国会の条約修正権【43】
Q1 国会は条約を修正できるか →否定(ﾜｾﾀﾞ)(国会の条約承認は一括承認か不承認かである。
(国会の修正提案は不承認の意味と解すべきである)
(理) 条約の締結は内閣の権限である(§73-5) 条約締結は専門・技術的判断が要求されるから、
このような職務分担は合理性もある。
それに対して、 国会には条約の内容についての判断能力が欠ける。 しかも 条約の修正を認めることは、内閣の条約締結権を侵害することになりかねない。
ｑ予算には国会に修正権があることと均衡欠くのではないか
→ 条約は相手国との合意によって成立するものであるから､
国会が修正しても相手国の意思を拘束するものではない｡
Q2 国会は一部承認･一部否認できるか
�� 不可分的性質を有するとき→×
�� 可分的 →原則 →**
BUT 実質的修正になるなら→×
1「憲法に反する条約」には、どんな態様がありうるか。
その「効力」は、どんな局面で問題とされるのか
(1) 憲法優位説は国際的通説か。
(2) 憲法優位説によるとき、相手国の信義を裏切ることにならないか。
なるとしたら、その点をどう考えるか。
2 国際法的効力。 (59-38)
(1)効力はどうか。
(2)国際法的に有効となることの意味は何か。3 国内法的効力。 (59-38) (57-34) (58-39) Ｑ 国内法的効力を有するか Ｑ 国会の承認が得られなかった場合の条約の効力【8】
�� 有効説 ×
�� 国際的有効国内無効説 ×
�� 全面的無効説(国際法上も無効である)(通説)(佐藤) **
(理) およそ有効とするならば、
国会に承認権を与え、条約締結に民主的コントロールを及ぼそうとした§73-5の趣旨が没却される。
事前の承認を欠く場合と均衡を欠く。
相手国もこれを承知しているはずである
→ 国会の承認が諸外国にも周知の要件と解されない場合には有効となる
°°°°°°°°°°°°°°°°°°°°°°°°°°
(理)このような場合にまで無効とすると、相手国の信頼を害する
(3)効力順位【7】
憲法との効力関係(§98-2)
(1)「条約」の意義
(2)「確立された国際法規」の意義
(3)「誠実に遵守することを必要とする」の法的意味
法律との効力問係
条約が国内的効力を有するには、法律を定めることが必要か
条約で財産権を制限できるか。
条約についての政令ではどうか。
憲法29条の「法律」という文言と抵触するのではないか。
条約で罰則を規定できるか。
行政協定と法律の効力関係如何。
政令
条約について政令を定めることは可能か。
条約についての政令で罰則を規定できるか
Ｑ1所管事項の範囲
Ｑ2 法律と競合するか(専属的所管事項か)
Ｑ3 法律との優劣(形式的効力はいずれが優位するか)
国会法で議院内部事項の定めがなされている。
(1)法律優位説
(批)衆議院の優越が認められている以上、
法律の運営如何で参議院の自律が侵されるおそれがある。
(2)規則固有の所管事項 →規則優先 (理) 規則制定権は議院に自律権を与えることにあるから、
一般国民の権利義務に関する事項→法律優先 (理) 両議院の審議の結果が重視されるべき。
"裁判所規則.png"
Ｑ1 所管事項の範囲
Ｑ2 法律と競合するか(専属的所管事項か)
Ｑ3 法律との優劣(形式的効力はいずれが優位するか)
原則 →法律優位
(理)法律は両院の可決で成立する以上成立要件が規則よりも厳格である。
例外 → 内部事項については規則が優先
(理)規則制定権は司法権の自律性・独立を守るために
最高裁判所に認められた権能である。
個人的権利、とくに自由権と異なる一定の制度に対して，
立法によってもその核心ないし本質的内容を侵害することができない特別の保護を与え、
当該制度それ自体を客観的に保障していると解される場合
→ 一定の制度については、法律によっても制度の核心を侵害できないとする理論 趣旨 →制度を保障(禁止)により間接的に人権の保障を強化する 例 →�＼�教分離の原則(§20)、��検閲の禁止(§21-2)、�Ｂ膤悗亮�治(§23)、�っ亙�自治制度(§92)など
Ｑ 適用範囲
判例は制度的保障を人権制約の根拠に使っている
Q1 限定すべきか →限定すべき
(理)この理論は
元来、法律による人権侵害の危険があった時代においては、
法律によっても制度の核心を侵害できないとする点で、人権を擁護することに実益があった。
しかし、現代においては、
�），了拉曚�妥当し、法による人権侵害自体が許されないのであるから、その存在意義は希薄である。
しかも
�∨寨�論は、制度の周辺部分に位置するとの理由で、逆に人権侵害の根拠に使用されるおそれがある。
Q2 適用の要件 →�� 制度の核心の内容が明確であり、
�� 制度と人権との関係が密接である場合に限る。
公共の福祉→人権相互の矛盾・衝突を調整するための実質的公平の原理
かつては公共の福祉によって、権利は政策的に制約しうると解する見解もあった。
しかし、
かかる見解を取るならば、公共の福祉の概念が、法律の留保と何ら変わりない働きを為すおそれがある。
思うに、
人権は社会生活を前提とする以上、その行使の際には他の利益と衝突する可能性を秘めている。
その意味ですべての人権は内在的制約に服するものであり、
§11、§13の公共の福祉は右理を表現した規定である。
一方で、
経済的自由権は、福祉の国家理念の実現のために特別な制約に服す。
二二条、二九条にあえて公共の福祉の用語が使用されていることは、右理を示す。
"Ｑ飲酒の自由(飲酒行為を未成年者に禁止することは認められるか)
⇒合憲である。
(理)誤った酒類の摂取によって心身が回復不可能な程度に害されることは十分あり得る。
しかも、
飲酒は人格的生存に欠くべからざるというほどの重要な行為ではない。
"Ｑ閲読の自由(暴力的・猥褻図書閲読の自由は認められるか)
右の図書が未成年者にに対して、悪影響があることは社会共通の認識といってよい。
しかも、その閲読が害されることは人格的成長においてそれほどの重要性はないといいうる。
従って、かかる禁止行為は原則認められる。
しかし
規制の態様によっては、成年者の閲読の自由が侵害されるおそれがあるので、
その合憲性は別途このような観点からも検討する必要がある。
"Ｑ髪型の自由(髪型を校則等で禁止することは許されるか)
髪型の自由は自己決定権の一部として憲法上保障するに値する利益である。
もっとも、校内風紀の維持、教育上の配慮の点からして絶対無制約ではない。
しかし、その制約は必要最小限度のものであることが要求される。
従って、
Qパーマを禁止する制約→許される
(理)他の髪型を選択しうるから、それほど強度な制約とはいえない。
Q丸坊主を強制する場合→許されない、
(理)他の髪型を選択できないばかりか、
それを強制する必要性もそれほど認められるわけではない。
Ｑ人権保障規定は外国人にも適用されるか
→人権の性質を考慮して決すべきである
(理)第3章は「国民の」権利及び義務と規定してあるが、
人権は前国家的性格を有する。
∴外国人も人権を享有するはずである。
しかし、
単なる外国人旅行者が国会議員の選挙権を有することは不合理である。
Ｑどのようなものが適用されるか 【108】
→認められない。
(理)外国人に右自由を認めないことは国際慣習法上確立している。
→肯定(在留資格はみだりに奪われない) (理)上記からは、認められないことになりそうである。
しかし、
定住外国人については当該外国が生活の本拠であるし、
既にその外国人の性向、行状は把握されている。
→認められない しかし
在留地である外国へ入国するものに関しては
在留の自由同様の特別な配慮が必要である。
→保障されない(原則)
(理)一次的には、国籍を有する国に対して要求すべき権利である。
しかし
事実上本国への保障要求が困難な場合がある。
従って、
法律によって社会権を保障するのは憲法の許容するところである。
そのうえ
定住外国人の生活実態からすると日本人と区別する必然性はない。
また在日中国・韓国人等については歴史的経緯も考慮する必要性もある。
従って、
日本国民と同じ扱いをすべきである。
→認められない(原則)
(理)性質上、当該国家の国民にのみ認められる権利であるから、
Ｑ 地方レベルにおいて永住資格を有する外国人についてはどうか
→認めるべき
(理)�＼�治が扱う事項は、地方レベルにおいて生活に密着した事項であるから、
選挙権を認めたところで、国家レベルの政策決定への影響は少ない。
しかも、
��外国人も定住の事実が有れば「住民」たる資格を有する。
事案 在留中政治活動を行ったことを理由に在留期間更新を拒否(マクリーン事件)
権利の性質上日本国民をその対象としているものを除き、
わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ →政治活動の自由は保障される。
が、
在留制度の枠内でしか、政治活動の自由は保障されない。
その結果
政治活動を更新拒否の消極的理由として斟酌できる。(判例)
(批) 在留期間更新について広範な裁量を認めすぎる。
判旨からすれば、萎縮的効果によって政治活動の自由を保障した意味がなくなる。
Ｑ人権保障規定は法人にも適用されるか
→性質上可能な限り認められる(判例)
(理)法人は重要な社会の構成要素をなす社会的実在である。
もっとも、
選挙権のように性質上法人が享有し得ない人権も存在する。
Ｑどのようなものが適用されるか(限界があるか)【109】
Q 法人に政治活動の自由を認めるべきか。
政治活動の自由は、表現の一部を為し、民主制を支える重要な権利であるから、
法人にもその保障は当然及ぶ。
しかし、
強大な経済力を持つ法人に全面的に右自由を認めるならば、
自然人の参政権を不当に制約する結果になるおそれがある。
従って、
法人への保障の程度は、自然人に比較して制約される。
この点について、
判例は、法人は自然人同様政治行為をなす自由を有するとしているが、
妥当ではない。
・税理士会政治献金事件(事案 税理士会が、政治団体への寄付金を徴収→従わない構成員には不利益)
Q 税理士会に統制権を認めることができるか。
→できない。(税理士会の処分は無効)
(理)税理士会は強制加入の団体であるから、
その構成員の権利は通常の団体に比較して、より厚く保護しなければならない。
そして
献金という行為は選挙権と密接に関連をする行為であるから、献金の宛先は各個人が決定すべきである。
(現憲法の下でも認められるか)【110】
国家と特別な法律関係にあるものの人権は、
一般国民と異なる特別な制約に服する
しかし
その根拠、制約の程度は法律関係ごとに個別具体的に考えるべきである。
※在監関係
在監目的を達成するため、特別な人権制約が必要である。
そして、一八条・三一条は在監関係という特別の関係の存在を予定している。
従って、
在監関係の存立と自律性を確保するために必要な限度で制約を為すことは許される。
もっとも、
その制約が在監目的達成のため必要最小限度でなければならない。
Ｑ新聞閲読の自由を制約することは許されるか
新聞閲読の自由は精神的自由権である。
この自由は自己実現・自己統治の価値が支える重要な権利である。
しかも、
かかる自由を拘禁目的の達成のため制約する合理性は希薄である。
従って、
かかる制約は裁判所の厳格な審査に服する
その点、
判例は監獄内の秩序の維持にとって障害が生ずる「相当の蓋然性」がなければ制約できないと判示した(よど号ハイジャック事件)
公務員は国民の生命・安全を守り、福祉を担う特別な職務に服するから、
その人権は特別な制約に服する。
そして
憲法は§15、§73�い覆匹砲茲辰討�かる公務員関係を予定している
従って、
かかる関係の存立と自律性を確保する目的の限度で公務員の人権を制約しうる。
現行法の問題点【112】
Ｑ 政治活動の自由は公務員に保障されるか。？
行政の中立性を保つことで、公務員関係の自律性が確保される。
公務員は、政治活動の自由については一般人とは異なる制約に服する
しかし、
政治活動の自由は、表現の自由の自己統治の価値が現れるところであるから、
可及的に保障されなければならない。
従って
その制約の程度は必要最小限度であることが必要である。
その程度は、公務員の地位、職務内容、その他諸般の事情を考慮して具体的に決せられるべきである。
猿払事件 事案 選挙用のポスターを勤務時間外に掲示、配布
→ 国家公務員法違反で起訴
(公務員の政治活動を一律禁止)
この点、判例は国家公務員法の合憲性について、
合理的関連性の基準を用いて、
当該立法の目的は行政を中立的運営し、
国民の信頼確保する点にあって、その目的は正当である。
さらに勤務時間の内外、公務員の職種を区別せず一律禁止することも
目的達成のための手段として合理的関連性あると判示した。
しかし、郵便局員が勤務時間外にポスターを貼ることで国民の信頼を失うとは考えにくいから、
刑事罰を適用するのは行き過ぎである。
しかも判例は、禁止によって得られる利益と失われる利益との均衡があるとしている。
しかし、個人の人権保障の観点からかかる利益考慮をなすことは許されない
Ｑ 労働基本権？
公務員は国民の安全・福祉を担うものであるので、一定の制約に服する。
しかし
公務員にも一般の労働者と同様の職務を行っているものがあるから、労働基本権を制約する合理性は認めにくい。
しかし
現行の公務員法では争議権が一律に否定されている
かかる立法は違憲の疑いが強い。
労働基本権は労働者の生きる権利であるから、その制約の程度は必要最小限度の制約に止まる。
従って
その制約への合理性は厳しい基準で判断すべきである。
目的の必要不可欠性を要求し、手段はＬＲＡの基準で判断する
全逓東京中郵事件、
�仝�務員にも一般の労働者と同様基本権が保障される、
�∪�約は最小限度、必要やむを得ない場合に限る
都教組事件、
二重の絞りによる合憲限定解釈を用いて法令の効力を救いながら、
争議行為を行ったものの人権制約を救う判断を示した。
全農林警職法事件
�仝�務員の地位の特殊性と職務の公共性から公務員の人権は特別な制約に服する。
�∈眄�民主主義からして政府に対する争議行為は的外れであるとした上で、
��市場抑制力がなく、代償措置が講じられていることから、
一律全面的禁止を合憲との結論を導いた。
�す膩�限定解釈は明確性の原則に反し、憲法違反のおそれがある。
(批判)
�，海里茲Δ蔽蠑歸�理由で公務員の人権を制約すべきでない
�⊃邑△鮗蕕觴蠱覆砲垢�ない財政民主主義を人権制約の根拠に使うことは本末転倒である。
��世論による抑制力は存在するし、代償措置は制約しうる際に始めて講じるものである。
�に（犬�ら合理的に読みとれないような解釈は避けるべきであるとしても、
前述のような右解釈の意義を一切認めない解釈は首肯できない。
１、就職活動(三菱樹脂事件)
事案 学生運動歴について虚偽の申告・試用期間終了時に本採用を拒否
判例は、企業は雇用の自由を有することから、思想・信条の申告を要求することは違法ではないとした。
しかし
巨大な企業である三菱樹脂がかかる思想・信条の告白を要求することは社会的影響が大きい。
通常の企業と同様に、雇用の自由を認めてよいわけではない。
２、定年制(日産自動車事件) 女性の方が定年齢が若い
女子に限って仕事能力が早く衰えるという事実はない。
とすれば
女子に限定した若年定年制を認めることには何ら合理性はない。
これは、性別に基づく理由のない差別である。
従って、
かかる社内規定は公序良俗に反し、民法90条によって無効である。
３、政治活動を行った私立大学学生(昭和女子大事件)→自宅謹慎・退学
大学には独自の建学、教育方針というものがあるから、政治行為を禁ずることは、不合理とまではいえない。
しかも
学生は入学を自由な選択によって決定したのであるから、かかる拘束には同意していると推定できる。
また
大学は教育機関であるから、その処分が教育的な意味を持つものであれば、
その内容の適否は大学側の広い裁量に任されると考えるべきである。
しかし
退学処分はそのような教育関係を放棄するものであるから、その裁量は広範なものではない。
本件でいう、政治活動は教育関係を解消すべきほど重大な事項であるとは考えにくい。
従って、
かかる処分は権利濫用(民法一条三項)として無効である。
※人権をまとめる際のポイント
人権の内容
これを保障する趣旨(人権の価値)
いかなる制約が許されるか
内在的制約か政策的制約か
制約の根拠としていかなるものが考えられるか
その場合の合憲性判定基準
定義
法的性質
その内容
環境権(健康で快適な生活を維持する条件としての良い環境を享受し、これを支配する権利)【116】
人格的自立権(自己決定権)(個人の人格的生存に関わる重要な私的事項を自律的に決定できる自由)【117】
肖像権
学習権(国民各自が、一個の人間として、また、一市民として、
成長、発達し、自己の人格を完成、実現するために必要な学習をする権利)
反論権
喫煙の自由
平和のうちに生存する権利 告知と聴聞：公権力が国民に刑罰その他の不利益を科す場合には、
当事者にあらかじめその内容を告知し、
当事者に弁解と防禦の機会を与えなければならないというもの
Ｑ 定義→ 自己に関する情報をコントロールする権利(請求権的側面を重視)
(理) 判例は私生活をみだりに公開されない権利と解する。しかし、
Ｑ 憲法上の権利か
→肯定
(理)私的領域を侵害されないことは平穏な生活をするためには欠かせない利益である。
かかる権利を保障することは人格的生存のために必要不可欠である
もっとも、
プライバシーもそのものの公的地位如何によっては例外的に制約される場合はある。
そこで、
Ｑ プライバシーの制約の違憲審査の基準
→厳格な審査基準による
具体的には、�”�要不可欠な利益を確保する目的が必要で、
�⊆蠱覆錬味劭舛隆霆爐鬟�リアーすること
(理)プライバシーの自由は人格的生存の根源にかかわる権利である。
Ｑ 環境権とは → 健全な生活環境を享受する権利
基本的人権として保障されるか
保障されるならその根拠規定は
Ｑ 下記に請求が認められるか(権力分立の原則に反しないか)
Q1 夜間離着陸の差止請求 → ×
Q2 夜間離着陸による損害賠償 →**
まず、一四条の平等は法内容の平等まで要求している。
(理)不公平な法をいくら平等に適用しても、無意味であるからである。
さらに、
憲法は二五条等において福祉国家の理念を謳っている。
かかる理念達成のため、
Q 法に要求される平等な内容とは、実質的平等をさす
さらに
Q §14後段列挙事由の意味
平等的な取扱が要求されるのは列挙事由に限られない。例示列挙と見るべきである。
かかる列挙事由は民主国家においては通常区別をするのに理由がない。
従って、
後段列挙事由による差別的立法は、違憲性の推定が働く
相対的平等：各人の性別、能力、年齢、財産、職業、または人と人との特別な関係などの事実的・実質的差異を前提として，
同一の事情と条件の下では均等に取り扱うこと
「社会的身分」(14条1項)：人が社会において一時的ではなしに占める地位
Q まず、非嫡出子たることは、「社会的身分」にあたるか
→あたる
(理)非嫡出子は一時的でない身分であるし、
独力ではその地位から逃れることができない。
とすると、
本件立法は社会的身分に着目して、不利益を課すものといいうる。
従って、
その合憲性は厳格な基準を用いて判断すべきである。
�）槎篶�法の目的は
法律婚制度の維持にあり、かかる利益は必要不可欠なものといってよい。
しかし、
��非嫡出子に対して不利益を与えることで右目的を維持しようとしているが、
かかる手段によって右目的が達成できるか否かは疑わしい。
しかも、非嫡出子は自らの生まれについて何の責任もない。
かかる手段は不合理である。
Ｑまず、投票価値(各投票が選挙の結果に対してもつ影響力)の平等が憲法上の要請か
→憲法上の要請である
(理)個人の持つ投票価値が不平等であれば、実質的に一人一票の原則に反する
Ｑでは、かかる投票価値を不平等とする選挙区割を定める法令の違憲審査基準は
(理)選挙権は民主制を支える重要な基本権であるから、精神的自由権と同様の厳格な審査に服する
その上で、どの程度の格差が生じた場合違憲となるかが判断なされねばならない。
まず、選挙権における平等の意味は、形式的平等を意味する。
(理)平等選挙の原則は、個人の価値が平等な点から導き出されるものであるから
但し、選挙区割について、技術的要請から完全な平等を達成することは不可能である。
そこで、二対一以上の格差は違憲である。
Ｑ かかる基準に照らし違憲となった選挙区割に基づいて行われた選挙は無効とすべきか。
→選挙自体は無効とせず、選挙区割の違憲無効を宣言するにとどめるべきである(事情判決の法理)(行訴§31)
(理)もしも選挙を無効とするなら、
その影響が多きばかりでなく、
新たな選挙区割を定めた立法をすべきものがいなくなる。
＊参議院ではどうか
→参議院は安定した民意を反映することが要求され、それで足りるし、
半数改選の制度が取られている
↓
技術的要請も無視しがたい。
従って
衆議院の方が格差の広がりは是認されない
(是正しなかったことについての国会議員の責任の問い方は、立法不作為の問題)
アメリカ国籍をもつ父親と日本国籍をもつ母親との子であるＡは、
国籍§2の要件に合致しないとして日本国籍の取得を拒否された｡
Ａはこれを不服として､国籍§2は憲法§14に違反するとして
｢日本国籍を有することの確認｣を求めた｡
裁判所はこの請求を認めうるか｡
なお、国籍取得の要件は｢出生のとき父が日本国民であるとき｣(国籍§2��)であった｡
また、父親のアメリカ居住歴はＡがアメリカ国籍を取得するのに不十分とされた｡「思想及び良心」→世界観、人生観、主義、主張などの個人の人格的な内面的精神作用
事案１、名誉毀損をした者に謝罪広告を命じる
Ｑ裁判所の謝罪広告命令は合憲か
謝罪広告を命じることは思想・良心の自由を侵害するか。
まずは、思想・良心の意味が問題となる。
思うに、一九条は二〇条、二三条に対して一般規定であるから、そのようなものとして思想・良心の内容を把握すべきである。
従って、世界観、思想のようなある程度確固とした信条をその内容とする。
ならば、
単に事実の真相を告白し、陳謝の意を表するに止まる場合は右のような思想良心の保護の埒外である。
従って、謝罪広告は合憲である。
事案２、麹町中学内申書事件
内申書に特定の政治活動を行ったことを克明に記載 → 高校を不合格になる
判例は、内申書の記載を思想・信条そのものを記載したものではなく、
外部的行為の記載も思想・信条を了知しうるものではないとしている。
しかし
本問では内申書に「ＭＬ派の集会に参加している」「麹町中全共闘を名乗る」等の事実を記載した。
かかる記載は信条・思想を推知できる。
内申書は入学選抜において参考にされる故公正が要求される。
右にような事実をかかる文書に記載することは§19違反である。
「宗教」→超自然的、超人間的本質の存在を確信し、畏敬崇拝する心情と行為 信仰の自由→宗教を信仰し、または信仰しないこと、信仰する宗教を選択し、または変更することについて、個人が任意に決定する自由 宗教的行為の自由→宗教上の祝典、儀式、行事その他布教等を任意に行う自由 宗教的結社の自由→特定の宗教を宣伝し、または共同で宗教的行為を行うことを目的とする団体を結成する自由
本問事案は格技を行ってはならないとする教義に反して、格技を行わなければ、単位不認定・退学とされたものである。
右事情は宗教的良心に反する行為を事実上強制するものであるといえるから、かかる強制が憲法二〇条に反しないのか。
戦前、神道が国家的宗教とされ、軍国主義の精神的支柱となった裏で、他の宗教は冷遇された。
信教の自由はそのような歴史的経緯をふまえ特に明文で保障された重要な権利である。
しかし、信教の自由も内心に止まらず外形的行為となって社会生活と関連を有する場合には一定の制約に服することを免れることはできない。
そこで、かかる信教の自由に対する制約立法の合憲性判断基準が問題となる。
思うに、信教の自由は右に述べたように重要な権利であるから、その合憲性は厳格な基準で判断すべきである。
すなわち目的が必要不可欠であり、他に選びうるより制限的でない手段が存在しないことが必要と考えるべきである。
以上を持って、本問を検討するに、
剣道は高専教育において必須とはいえないし、剣道実技参加拒否は信仰の核心に関わる真摯なものということができる。
しかも、体育実技の種目は他に多数選びうるわけであり、代替措置を講じることは可能である。
人権擁護のためにかかる措置を取る以上、右措置は政教分離に抵触する分けでもない。
従って、退学は社会通念上著しく妥当を欠く
従って、本件高専の処分は違憲無効である。
政教分離原則は、信教の自由を間接的に保障するための制度的保障である。
しかし
制度的保障は、制度の周辺部分の侵害を許すものであるから、運用のやり方如何によっては、信教の自由の保障がはかないおそれがある。
従って
かかる保障は高度ものと考えるべきであり、政教分離の程度は厳格なものが要求される。
しかし
このように解したとしても、右制度は政治と宗教の関わり合いを一切排除するものではない。
宗教法人への税制の優遇、宗教法人の経営する学校への助成金交付のいずれも許さないとの結論は不当であるからである。
従って
許される関わり合いとそうでないものを区別する基準設定の必要性がある。
具体的には、下記の三要件により判断する。
�々坩戮�世俗的目的をもつか、
��行為の主要な効果が宗教を振興し、または抑圧するか、
��宗教と国家との過度の関わり合いを促すものか
事案
津地鎮祭事件
体育館の建設のために行われた地鎮祭の費用を公金から支出
思うに、地鎮祭は通常起工式の際に行われる儀式であり、その際には主催者は世俗的目的しか有していなかったと見うる。
しかし、地鎮祭が神道に基づく宗教的意義を持つことは否定できないものである。
かかる行為を地方公共団体が行為主体になって行えば、神道及び他の宗教に何らかの影響はあると考えるべきである。
従って、本件地鎮祭の挙行は、政教分離に抵触するというべきであり、違憲である。
��愛媛玉串料事件
靖国神社に対する玉串料の支出が憲法上許されるか
玉串料としての公金支出は特定の宗教への関心を呼び起こし、靖国神社という宗教団体の宗教活動を援助するものといえる。
従って、かかる公金支出は、二〇条三項、八九条に反し違憲である。
�Ｌ�面忠魂碑事件
遺族会所有の忠魂碑を移転する費用支出・私有地の無償の使用貸借 → 政教分離に反しないか
忠魂碑は礼拝の対象となっているから、宗教的施設といいうべきであるし、
遺族会はまさにかかる礼拝を行う団体であるから、宗教団体というべきである。
しかし、かかる団体に公金を支出する行為が、政教分離原則に反するか否かはまた別問題である。
すなわち、本件事件は小学校の増改築工事に際して忠魂碑に移転の必要が生じたものである。
本件支出は公共事業に必要あって、不利益を被る団体に補償の性格を有すると見るべきである。
従って、本件支出は世俗的目的によるものであるし、かかる行為が特定の宗教団体を援助するとは言い難い。
しかも、宗教団体との過度の関わり合いを促すものとも言い難い。
従って、かかる支出は憲法に反せず、合憲というべきである。
自衛官合祀拒否訴訟
宗教上の人格権とは親しいものの死について静謐の中で宗教上の思考をめぐらせ、行為をなす利益をいう。
かかる利益は宗教的行為の自由として、憲法二〇条にて保護されるべき利益と考え得る。
親しいものの死について思考をめぐらせることは
宗教的な行為のうちにおいても、人格的生存のため重要な役割を果たすと考えられるからである。
憲§23の内容 �� 学問研究の自由
�� 研究成果発表の自由
�� 教授の自由
以上の制度的保障として 大学の自治 Q 憲§23の保障は普通教育における教師の教授の自由も含むか
(下級教育機関にも教授の自由が保障されるか)(旭川学力ﾃｽﾄ事件)
→含む
但し、完全な教授の自由は保障されない
Q 教育内容を決定する権能は誰にあるか(教育権の所在)
→親,教師,国
Q 学力テストは教師の教育内容決定権を侵害するか
→大学における研究教育の自由を十分に保障するために、 大学の内部行政に関しては大学の自主的な決定に任せ、 大学内の問題に外部勢力が干渉することを排除しようとするもの
大学の自治とはいえども、大学は治外法権ではない。
従って、大学内の警備活動について一切警察の関与を許すものではない。
しかし
学問の自由は個人的な価値に止まらず、社会的にも最大の尊重を払わなければならない。
かかる価値を保障するためには、警察側の一方的判断の下に学内活動が監視下におかれるという事態は許されない。
すなわち、
事件が学内で発生したなど緊急事態以外は、大学の要請、許可なくては警察活動を学内で行うことはできない。
従って
犯罪の発生する抽象的危険に基づいて大学内で公安活動を行うことは許されない。
また、
学生も大学における研究主体足りうるのであるから、程度の差はあれ、大学の自治の享有主体である。
従って学生の暴行は大学の自治を守るための正当な行為として、違法性が阻却される。
この点判例は、
劇の発表は学問の研究発表でないとしたうえで、
本件劇の発表は実社会の政治的社会的活動であるので、大学の自治を享有しないとした。
しかし、政治的・社会的活動と学問的研究・発表との区別は困難である。
にもかかわらず、警察権力が、前者にあたる行為であると一方的に判断して、警備活動を行えるならば、
大学の自治の保障は無に帰しかねない。
表現の自由は、
１ 個人の人格の形成・発展(個人が言論活動を通じて自己の人格を発展させる)(自己実現の価値)にとって、また、
２ 立憲民主政の維持・運営(言論活動によって国民が政治的意思決定に関与し民主政に資する)(自己統治の価値)にとって不可欠な重要な権利である。
表現の自由とは、 →およそ情報の流通に関わる国民の諸活動が公権力により妨げられないことを意味する
ここにいう「情報」とは
→およそすべての「情報」を指す。
(理)いかなる情報であれ個人の自己実現・自己統治にとって重要である
また
重要な「情報」とそうでないものの区分は不明確である
また
「表現の自由」は
→収集−提供−受領の全過程を包摂する
(理)「情報を受け取る自由」があってはじめて有意なものとなり、
さらに
情報伝達行為は多かれ少なかれ情報収集活動に依拠するから、
自由権的側面→具体的権利
請求権的側面(狭義知る権利)→抽象的権利
→情報提供権･受領権･収集権
Ｑ 営利的言論(Q 認められるか)【126】
→肯定
(理)広告のような営利的表現活動であっても
国民が消費者として広告を通じて
さまざまな情報を受け取ることの重要性に鑑み、
§21条により保障される。
このような表現の自由の意義に鑑みると、 表現の自由は、経済的自由権に比し優越的地位を有し、 適用される違憲審査基準もより厳格な基準が用いられるべきである(二重の基準論)。
類型論 事前抑制の原則的禁止法理 検閲の禁止 不明確故の無効の法理 必要最小限度の規制手段の選択の法理 �＿疆戮旅�汎性故無効の法理 �△茲蠕�限的でない他の選択しうる手段の法理
利益衡量論 ｢明白かつ現在の危険｣テスト 範疇化テスト
Ｑ 検閲とは →表現行為に先立ち
行政権がその内容を事前に審査し
不適当と認める場合にその表現行為を禁止すること
そして
§21-2がとくにこれを規定した趣旨に鑑みるとこれは絶対禁止である。
行政権が思想内容等の表現物を対象とし、
網羅的・一般的に
発表前に
その内容を審査して発表を禁止すること
(批)
｢検閲｣は絶対的禁止である。従って、これを限定的に解釈するのにも理由がある。
しかし、不当に狭すぎる。
※ 税関検査【133】わいせつ表現物の輸入規制の合憲性
「公安又は風俗を害害すべき書籍」を輸入してはならない」
→ 税関は書籍等を検査 → ｢通知｣処分 → 表現物の事前抑制を行う
判例は刑175条の規制の便宜のため単なる所持目的かどうかの区別なく禁止することも許されるとする。 しかし 表現の自由に対する規制は必要最小限度でなければならず、 処罰対象ではない単なる所持目的の場合にも禁止するのは広きに失し違憲である。
Ｑ｢検閲｣(§21-2)に該当し違憲ではないか
該当しない(判例)
(理)�� 思想内容等それ自体を審査するものではない
�� 国外において発表済みである、
(批判)
�，砲弔い討�
思想内容にわたるか否かその判別は難しい以上 およそ表現内容を審査するものであればすべて検閲に該当する。
審査目的が右のごとくでない限り検閲でないとすると
思想内容の当否を調査とするような制度でない限り検閲にあたることはなくなる。
これは狭きに失し妥当でない。
そもそも
表現の自由の価値を守るためには、目的が何であれ、
行為の結果いかなる影響が表現の自由に及ぼされるのかを問題にすべきである。
�△砲弔い討蓮�
たとえ国外で発表済みでも、 国内で流通しなければ国民は知ることができないので知る自由への重大な制約となる。 表現の自由は情報の全流通過程を保障したものと解すべきであり、 検閲もかかる観点から把握されねばならない。
従って
日本国内で発表する機会が与えられない限り｢検閲｣にあたる可能性がある。
Ｑ「公安又は風俗を害すべき」との文言は明確性に欠けるのでは？
判例は否定する。 しかし 明確性を欠く
※11 在監者の新聞･図書類の閲読･信書の発信等の制限の合憲性【134】
※12 青少年保護育成条例
事例 青少年の健全な育成を阻害するおそれがある図書
↓
知事が個別に有害図書を指定(個別指定)(審議会の意見を聴く必要あり)
特にひどいものはあらかじめ指定にかえ規則で定めるところにより有害図書と指定(包括指定)、
↓
青少年への販売・自動販売機への収納が禁止
Ｑ1 本件の規制は§21に違反し許されないのではないか
青少年はその未成熟性故に健全育成を図る必要がある以上成年者と異なった制約に服する。
また、
専ら好色的興味に訴え商業利益を追求する有害図書類の表現の自由は他の表現の自由より価値が低い。
しかし、 表現の自由は自己実現・自己統治という重要な価値をになうものであり「優越的地位」を有し、 これがなしくずしにならないよう配慮することが必要である。
Q1 ｢検閲｣該当しないか
→否定 (理)自動販売機への収納が禁止されるだけであるから、
表現行為への重大な規制とは言えない｡
そこで
Q2 本件規制の合憲性判定基準
→厳格に審査すべき(上記事情はその目的・手段を審査する際に考慮すれば足りる。)
→ 目的が必要不可欠で、
他に選びうるより制限的でない手段が存在しないこと
(理) 表現の自由は自己実現、自己統治の価値が支える重要な権利である。
しかも、
いったん表現の自由に対して不当な制約がなされるなら、回復は困難である。
また、
本問の規制態様は(検閲にあたらないとしても)
事前抑制の性格をもつものであり、表現の自由を特に侵害する虞が強い。
q1 目的は→青少年の健全育成
性的、または暴力的表現が未成年者の成長に悪影響を与えることは一般に承認されている。
従って、目的は必要不可欠といえる。
q2 では、手段はどうか。
�� 知事の個別の指定
→妥当 (理)審議会の意見を聴かねばならない以上恣意的な運営が抑制される
�� 包括的指定
→包括指定の基準が明確であれば許される。
(理)もとより、濫用の危険が大きい。
しかし
包括指定ができないと有害図書の指定がなされるまでに販売を済ませるという事態(一夜本)が横行し
結局規制がなしくずしになる。
これでは立法目的を達成できない。
�� 自販機への収納禁止
自販機ルートしか販売経路がない図書なら成人の知る自由も制限される
これは、立法目的を超え広きに失しないか
→許される
(理)対面販売のみならず自販機への収納も禁止せねば立法目的が達成できない。
自動販売機による購入は心理的に禁止されるべき書籍の入手を容易にする。
さらに
自動販売機では未成年者か否かを判別できない
Ｑ2 条例による規制は、法の下の平等に反しないか
→反しない
(理)もとより、条例による規制は、地域により異なる規制に服せしめる。
しかし
憲法が条例制定権を地方自治体に与えた時点で、かかる事態を予定している。
※13 教科書検定制度の問題点
教科書 → 検定不合格処分
Q教科書検定が検閲にあたるか。
確かに、いかなる形式で出版を行うのかという点も表現の自由の一内容である。
従って、教科書という形での出版が禁じられるのみであるの一言を持って検閲でないとはいえない。
思うに、表現の自由に対して重大な影響を及ぼすような公権力の表現内容への審査を検閲というべきである。
本問の場合、教科書としての出版を一切禁じられるのであるから、その抑止的効果は大きい。
のみならず、
検定不合格となった出版物の出版を引き受ける出版社が事実上皆無であることからして、
教科書検定は検閲にあたる可能性がある。
確かに
国家は必要かつ相当な範囲で教育内容を決定できる。
一定の教育水準の確保のためである。
そして
そのために教科書の内容を審査することは必要である。
しかし
そのような審査対象は、誤植や、造本など技術的なもの、さらに教育課程の大綱基準の範囲内にあるかなど範囲を限定してはじめて認めうる。
教科書検定が広範な思想内容の網羅的審査をなすものであるならば違憲である。
※名誉毀損的表現【128】
北方ジャーナル事件(人の名誉を毀損するおそれある記事→仮処分による発表の事前差止)
名誉権は、人格的自律に不可欠な人権として§13により保障される。 そして、名誉を毀損する表現は無価値なものとして憲法で保障された表現の範囲に属さないとも考えられる。 しかし、そうすると 名誉毀損の概念をどのように定めるかによって 本来保障されるべき表現まで憲法の保障の外におかれてしまう危険がある。 そこで これらも表現の自由に含まれるとしたうえで最大限保護の及ぶ範囲を確定していくべき
Ｑ 刑事罰(名誉権が侵害された場合刑事罰を課すことができるのはいかなる場合か)
刑230条の2では、下記要件を満たすときは違法性が阻却される。 �〇�実の公共性、 �¬榲�の公益性、 ��真実性の立証 しかし、 このままでは相当な資料に基づき表現行為をなしても 真実性の立証に失敗すると処罰されることになり妥当でない。 公共性のある事項については、表現の自由を優越させて、相当な資料に基づく言論も保護されるべきである。 そこで、 事実が真実であることの証明がない場合でも、 行為者がその事実を真実であると誤信し、 その誤信したことについて、確実な資料、証拠に照らし相当な理由があるときは、 犯罪の故意がなく名誉毀損は成立しない
Ｑ 損害賠償(私人間において表現の自由と名誉権をいかに調整すべきか)
人権はもともと対国家のものであるが、
人権侵害が行なわれた場合にこれを放置することは憲法が人権を保障した趣旨に反するから、
当該法規の解釈にあたり憲法価値の実現を図りうるよう解釈せねばならない。
思うに、
表現の自由は自己実現・自己統治の価値を担う重要なものであり「優越的地位」を有する。
他方、
名誉権も人格的自律にとって重要な権利である。
そこで、
原則→等価値的利益衡量による
例外→表現行為が公的事項に関わる場合には、表現の自由が優先する
(理)民主政の過程に直結し、一旦侵害されると回復が困難である
刑§230の２のような事情があるとき→違法性が阻却される
それ以外 →等価値的利益衡量で決する
Ｑ 裁判所による差止の場合の要件（北方ジャーナル事件）
これも事前抑制である。
ただ、裁判所による場合は、行政権と比較し、公正な手続と厳正な要件の下に行われる。
従って、
下記の要件を満たせば、許さる
�”集銃睛討�真実でないか、
又は
もっぱら公益を図る目的のないことが明白で
��被害者が重大で
著しく回復困難な損害を被るおそれがあるとき、
�８�頭弁論、債務者の審尋等の手続的保障があること
但し、提出した資料によって明白である場合には例外として不要
(理)保全処分の特殊性(迅速性・密行性)から
※プライバシー【128】
Ｑ侵害された場合に損害賠償請求が認められるか。 (相手方が私人であるところから私人間の表現の自由とプライバシー権をいかに調整するか) 人権はもともと対国家のものであるが、 人権侵害が行なわれた場合にこれを放置することは人権を憲法が保障した趣旨に反するから、 私法の一般規定を通じてその調整を図るべき。 プライバシー侵害を理由に不法行為(民７０９)に基づく損賠を求めていく場合、 その成立要件、違法性阻却事由のなかで対立する人権との調整を図りつつ、 プライバシー権の保護を図っていくべき。
Ｑ表現の自由との衝突した場合、いずれの利益を優先すべきか
→等価値的な比較考量によって、いずれの人権が優先されるかを決する。
(理)表現の自由は自己実現、自己統治の価値が支える重要な権利である。
一方
プライバシーの権利も人格的生存には不可欠な人権である。
このように両人権はいずれ劣らない重要な権利である。
その際には
プライバシーが制約される者の身分、
公開される情報の種類
公開されることの社会的必要性などの要素を総合して判断する
そこで
公開された内容が、
１．私生活上の事実または事実らしくうけとめられるおそれのある事柄であること
２．一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合、公開を欲しないであろうと認められる事柄であること
３．一般人の未だ知られていない事柄であることを要し、
このような公開によって当該私人が不快・不安の念を覚えたこと
が必要である
"＊違法性阻却事由
公人、公的事柄に関する事項 芸術性の高いもの プライバシーの放棄 自ら危険に接近
・上の規範を書いた上で、違法性阻却がされないかと問題提起すること
＊差し止め請求
事前抑制参照"
※６ Ｑ猥褻文書の頒布･販売を禁止する規定(刑§175)は合憲か【129】
Q [わいせつ的表現は表現の自由の保障の範囲内か]
｜
表現の自由の保障に含まれるとした上で最大限保護の及ぶ範囲を確定していくべき。
Q 規制する理由
→１．見たくない人にとって苦痛事 ２．善良な性道徳の維持 ３．専ら好色的興味に訴え商業的利潤追求を目的とする表現行為は価値的に重要とは認めがたい
Q「わいせつ」文書とは
→�…名鐃佑砲箸辰凸税鬚坊�悪的なもので
かつ
�∨笋畊腓錣擦任�るような社会的価値を全く欠いている文書
CF １．徒らに性欲を興奮または刺激せしめ
２．普通人の正常な性的羞恥心を害し ３．善良な性的道義観念に反するものをいい
Q 判断基準
「文書全体との関連において判断」し、 「その科学性・思想性・芸術性との関連において相対的に判断」する
※７ 煽動罪の合憲性【130】(Ｑ 犯罪又は禁止行為の扇動を処罰する規定は憲法上許されるか)
刑法上違法の評価を受けるような表現行為はそもそも表現の自由の保障の範囲外とも思われる。 しかし このように考えると刑法の定め如何によって本来保障されるべき表現行為自体が保障されなくなるおそれがある。 したがって、 これらも表現の自由の保障に含まれるとした上で最大限保護の及ぶ範囲を確定していくべき。
Qでは本問法律は合憲か。 この点 判例は、 〜のような扇動は〜の重犯罪を引き起こす可能性のある危険な行為であり、 「公共の福祉」に反するものであるから合憲であるとする。 しかし 本問法律は内容に着目して規制するものであり他の規制にくらべその程度が格段に強い。 表現の自由は〜であり「優越的地位」を有し特に厳格にこれを判断すべきであり、 内容規制についてはなおさらである。 したがって、…(明白かつ現在の危険)"
※８ 道路における街頭演説･集会の規制の合憲性【131】
※９ ビラ貼り規制の合憲性【132】
"＊屋外広告物法及び地公体の条例規制
ビラ貼り等を無制約に放置すれば都市の美感が著しく破壊される虞れがあるから、 これを防止するために制約する必要性はある。 しかし、 表現の自由は自己実現・自己統治の価値を担う重要なもので、｢優越的地位｣を有する。 特にビラ貼り等の自由は誰でも容易に利用できる最も原初的な意見伝達の手段であり、 表現の自由の一環として最大限保障されねばならない。 都市の美感の保持という理由は主観的なものである以上、安易に制約を認めることは 「優越的地位」を有する表現の自由の保障をなし崩しにする可能性がある。 したがって、 この種の規制が許されるか否かは厳格にこれを審査すべきであり、 目的が必要不可欠で手段が必要最小限度にとどまっている必要がある。 この際 ビラ貼りがなされる場所も性格、周囲の状況、ビラの形状や貼付態様等の諸要素を 総合的の考慮して判断すべき
"＊軽犯罪法による処罰
他人の所有・管理している物件にみだりにビラを貼り付けたりすることはその所有権・管理権を害するからこれを規制しうる。 しかし 表現の自由は自己実現・自己統治の価値を担う重要な権利であり、最大限これを保障すべく配慮すべきである。 特に、ビラ貼りはマスコミ等を利用しえない一般市民にとって有効な表現手段でありできるだけ保護していくよう配慮すべきである。 したがって 同意の下行なわれるビラ貼りが処罰の対象とならないのはもちろん、 たとえ同意がなくても、「表現の自由」の保護を図る観点から、ビラ貼りの目的・手段・態様・被害の軽微性・これがなされた場所等を考慮して処罰しうるか否か判断すべきである。
"＊パブリック・フォーラムはあてはめの中の場所の性格で考慮すれば足りる"
定義 → 積極的に政府情報等の公開を要求することのできる権利保障される理由
※12 国家機密と取材活動の限界【135】
国公§100は公務員が職務上知りえた秘密の漏洩を禁じ、 §111は漏洩行為の「そそのかし」行為を処罰する。 取材行為に関しかかる法律を適用しえるか。
[取材の自由]
｜
このように取材の自由も表現の自由の一環として保障され、 表現の自由は自己実現・自己統治の価値を担う重要なものであることに鑑みると、最大限これを保障するよう配慮すべきである。 とすると、 ここにいう「秘密」とは 単に形式的に秘密とされたものではなく、 実質的にも秘密として保護に値するものをいう その要件は、 １．非公知、 ２．必要性、 ３．相当性の要件を備えることが必要である。 また、 「そそのかし」ということだけで直ちに違法性が推定されるのではなく、 真に報道の目的であり、 手段方法が法秩序全体の精神に照らし相当なものとして社会通念上是認されるものであれば、 正当な業務行為として違法性が阻却される
※西山記者事件
国家機密の漏洩をそそのかす行為を罰することは取材の自由を侵害する。
そこで
かかる処罰は憲法に反しないのか。
まず、
取材の自由は、報道の自由の不可欠の前提であるから、二一条一項で保障される。
しかし
取材の自由も、絶対無制約ではなく他の利益との関係で制約される
国家の扱う事項の中には、外交、国防その他の観点から発表されては意味がなくなるものが含まれている。
そのような国家機密は保護に値する
その前では取材の自由も一歩後退せざるを得ない
しかし、
取材の自由は重要な権利である上、民主国家において国家秘密はあくまで例外である。
従って、保護に値する秘密か否かは厳格に判断しなければならない。
従って、
保護される秘密とは、
�“鷂�知の事実であって、
�⊆村租�に保護するに値するものでなくてはならない。
さらに
実質秘にあたるか判断は裁判所がなすべきである
また、
仮に取材対象が右のような実質秘であっても、
直ちに機密の漏洩をそそのかす行為が処罰されるわけではない。
国家秘密の取材は公務員の守秘義務と対立するものであるから、
取材が誘導・唆誘的性質を伴うのはやむを得ないからである。
従って、
取材の方法が、相当なものとして社会観念上是認できる程度のものであれば、
国家機密の取材も正当な業務行為ということができる。
※13 取材源の秘匿の限界【136】
※報道の自由
表現の自由の一環として当然保障される。 国民の知る権利に奉仕するという重要な意義を持つ。
※取材の自由
→２１条により保障される
(理)報道は取材・編集・発表という一連の行為により成立するものであり、
取材は報道の不可欠の前提をなすから。
１、証言拒否
証言義務は司法裁判の適正な行使に協力すべき重大な義務であるから 刑訴§149の例外規定は限定列挙であって、 新聞記者に証言拒絶権を認めることはできない。
２、ビデオテープの押収
[取材の自由]
｜
「公共の福祉」による合理的制限には服する。
問題はその違憲審査基準である。
表現の自由は自己実現・自己統治の価値を有する重要なものである。
しかし
公正な裁判の実現も極めて重要なものでありこれがため取材活動の自由が一定限度制約を蒙る。
したがって
これが許されるか否かは犯罪の性質・内容・軽重等及び差し押さえるべき取材結果の証拠としての価値、
ひいては公正な刑事裁判実現にあたっての必要性と他面において取材したものを証拠として提出させられることによって蒙る不利益等を比較衡量して決すべ きである。"
博多駅テレビフィルム事件
事案 機動隊の過剰警備の事実の有無を判断
→警備の模様を撮影したテレビフィルムの提出を命令
将来取材ができなくなるおそれ → 拒否
本件では将来取材ができなくなるおそれがあるとして、
取材の自由の制約が問題となっている。
かかる自由は憲法上保障されているか。
→報道の自由は知る権利を支えるものとして、二一条で保障されている。
また
取材の自由は報道の自由の不可欠の前提であるから、同様に二一条で保障されている。
しかし
報道の自由及び取材の自由も絶対無制約ではない。
従って、必要があれば必要最小限度の制約には服さざるを得ない
もっとも、
報道の自由、取材の自由は民主制の過程をなす表現の自由である。
かかる自由を制約する処分には原則違憲性の推定が働き、その裁量の範囲は狭い。
本事例の提出命令の目的は公正な裁判の実現の要請を満たすものである。
かかる目的は必要不可欠なものといいうる。
さらに、
本件フィルムが証拠として他に変わりうるものがない事案であるならば、例外的に取材の自由を制約することは許容される。
裁判所は証拠収集能力が低いから目的を達成する手段として必要限度のものとは認めやすい
従って
右のような条件を満たしているならば、フィルムの提出命令は合憲
※法廷における取材活動
写真撮影、メモを法廷でなすことが問題となった事件
[取材の自由]
｜
これも絶対無制約ではなく「公共の福祉」による合理的制限には服する。 問題はその違憲審査基準である。
思うに
表現の自由は自己実現・自己統治の価値を有する重要なものである。
しかし
裁判の公正も重要なものであり、そのためには公正かつ円滑な訴訟の運営がなされなければならない。
裁判の公開も裁判の公正さを担保するものであり、傍聴人に権利としてこれを付与したものではない。
したがって
必ずしも厳格な審査基準が用いられるわけではなく
…(問題に応じて具体的な規範は柔軟に)
レペタ事件
法廷でのメモ → 裁判長の自由裁量事項か？
法廷でメモを取る行為は、憲法上保障されるか
思うに
憲法上は裁判の公開が保障されている(八二条一項)
その趣旨は裁判の公正を確保する点にある。
記録を取るのは、裁判内容への評価を適格に行うためであるから、
八二条の趣旨を全うするには、かかる行為は、最大限保障されねばならない。
しかも、筆記行為は自らの表現の前提をなす行為でもある。
従って、
筆記行為の自由は八二条一項、二一条一項の両条文で保障されている
もちろんこのような筆記行為の自由も絶対無制約ではない。
たとえば、裁判官の訴訟指揮を妨げるようになる結果が是認できるわけではない。
しかし、
筆記行為が訴訟指揮を妨げるような行為は通常考えられないから、
従って、特段の事情がない限り故なく妨げられてはならない
※ アクセス権【137】
→マス・メディアに対して自己の意見の発表の場を提供する権利
狭義→名誉毀損に対する一救済方法としての反論権、
広義→不法行為たる名誉毀損の成立を要件とせず、市民が何等かの形でマス・メディアを利用して自己の意見を表明することを請求する権利(広義の反論権)を指す。
マス・メディアの独占化により
一般市民は自己の意見を発表する機会をもてない現状の下で、
マス・メディアで取り上げられない思想・情報を国民に対し提供せしめ、
もって国民の知る権利に奉仕する機能を有する
Q1 憲法上保障されるか
→否定 (理) �．▲�セス権を実現するには、紙面を無料で割くことをマスメディアに強要しなければならない。
このような権利は、マスメディアに批判的記事の掲載を躊躇させ、かえって表現の自由を害する虞れがある。
��反論されるべき文章かの判断権者を、もし国家とするなら、国家による言論統制を許すおそれもある。
Q2 立法によってアクセス権を認めてよいか
→認められない。
ただ
放送機関に対しては、その特殊の公共性に鑑み別異に考えることも可能である。
保障の限界【138】
事案 市民会館の使用許可の申請→不許可処分
公共施設を利用して集会することは憲法で保障された国民の権利・自由である(憲法§21)
従って、
利用の許否は管理権者の単なる自由裁量に属するのではない。
不許可にできるのは、
�〕�用が競合したとき及び
��他の基本的人権が侵害される場合に限られる
そして、
後者の場合は、集会の自由の重要性と他の人権との比較考量して、
不許可の場合を決定すべきである。
そして、
この際の人権侵害の危険性とは、
明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要である。
動く集会として集会の自由に含まれる。
公安条例の問題点【139】
集団行動は、一定の行動をともなうものであるから、他の表現の自由とは異なる特別の規制に服する。
しかし、規制は
�―顕颪僚妬�による混乱回避
もしくは
��道路・公園について他の利用者との事前の調整
の要請を満たすためのものである。
従って、
右目的の達成手段としては規制手段としては、たとえば届出制で足りる。
それ以上の規制をなす場合は違憲の疑いがある。
保証の限界【140】
Ｑ 保障されているか
→肯定
(理)海外旅行の自由は知的接触の機会を求める手段である。
従って
精神的自由権に準じた保護を与えるべきである。
Ｑ いかなる規定によって保障されているか
→§22-2説(判例) (理)海外旅行は外国移住と類似するから
(1項は国内、2項は外国に関する規定と考える)
Ｑ 法的性格
Ｑ 保障の限界
「著しくかつ直接に日本国の利益又は公安を害する行為」という文面をもって旅券の発給拒否の対象としている。
Q かかる文面は、漠然故に無効ではないか
→文面上違憲無効
(理)漠然とした文面の法が無効とされるのは、
広汎故に、許される行為まで処罰される可能性があるからである。 そこで、 そのような可能性が高いか否かによを判断すべきである。 そして、 旅券は渡航許可証ではない以上、あくまで発給されるのが原則である。 とすれば、 発給不許可にできる場合は、犯罪行為を行う危険性が極めて顕著な場合に限る。 右法文はそのような限定を何も施していない。
Ｑ憲法上保障されるか
→§22-1で保障されている
(理)職業選択の自由を認めてもそれを遂行する自由を認めなければ、
前者を保障した意味がなくなる。
(理)目的が国民の生命・健康に対する危険を防止することにある消極的規制は、警察比例の原則から、厳格な審査基準を持って判断すべきである
具体的には
目的が重要性と、目的と手段との間に実質的な合理的関連性の有無を審査するのが妥当である。
本件立法は不良医薬品の供給防止にあるから、消極目的に属する規制である。しかし過当競争がひいては不良医薬品の供給につながるとの論法に合理性はない。
Q この場合、いかなる合憲性判定基準を用いるべきか。
より細かくし、規制態様などの要素をあわせ考えるべきである。
本規制は、本人の力ではいかんともしがたい条件である。
このような規制は、厳格な基準を持って臨むべきである。
具体的には、
目的が重要であり、目的と規制手段との間に実質的関連性があることを要する。
本問を見るに、
目的については公衆衛生、弱者保護ともに重要である。
それに対して、手段として距離制限を行うことは、
過当競争を避け、既存の公衆浴場の経営を守ることになる。
従って、
目的と手段の間に実質的な関連性がある。
→合憲本立法は租税立法である。
財産権は国民の健康・安全を守るためのみならず、
福祉国家の理念達成のためにも制約される可能性がある。
憲法は、かかる趣旨を公共の福祉の言葉に表し、立法による制約可能性を認めた(§29-2)。
しかし
かかる制約立法の目的は様々あり、立法の合憲性判断基準を一義的に定めることはできない。
また
国民代表機関である立法府の判断を原則は尊重すべきである。
従って
立法の必要性・合理性に欠けていることが明らかな場合に初めて違憲判断を下せる。
Ｑでは、本制約立法は違憲か(立法の必要性・合理性があるか)
→違憲
(理)
Q 本問立法の目的は
→ 森林経営の安定に求められ、必要といいうる。
Q 手段としては
→森林の範囲、期間の限定がなく分割制限を定めている。
しかし
価額賠償によれば合理的分割が可能である。
だとすると、
このような広範な規制をなすことには、必要性・合理性がない。
Ｑ「公共のために用いる」の意味【143】
Ｑ 補償の要否の判断基準【144】(Q どのような場合に補償を要するのか)
まず、その前提として、Q 二項と三項の関係
(1)二項による制約→法律による一般人への制約→補償不要
三項による制約→特定人への制約 →補償必要
(批) 規制対象が一般人であっても保障が必要な場合はある。
(2)2項と3項は一体として捉え
もっぱら実際に補償が必要か否かという実質的要件だけで判断する
�� 財産権の剥奪、本来の効用の発揮を妨げるような侵害がなされる場合→補償必要
その程度にいたらない規制(社会的制約として受忍すべき範囲のもの)→補償不要
�� 本来の効用とは無関係の規制の場合 →補償必要
Ｑ「正当な保障」の意義【145】
Q1 どの程度の補償が必要か
→財産の客観的な市場価格を全額補償すべき
(理)§29-3が｢正当な補償｣を要求した趣旨は、
公の利益のためなされた個人の財産権への制約を、
全国民の負担に転嫁させることが平等原則の観点から望ましい。
Q2 生活権補償(財産権を制約された場合に同一生業を営めなくなる点についてまで補償が必要か)
→ 完全補償の趣旨からは、かかる生活権の補償も憲法上の要請である。
但し、
その補償の程度・方法は§29-3からは読み取ることは不可能である。
従って
具体的な生活権の補償は、立法を待つ必要がある
Ｑ 直接§29-3を根拠に補償請求できるか【146】
Ｑ 予防接種禍 (Q 防接種の副作用で死亡した場合に補償請求できるか)
→ 補償を認めるべき(§29-3類推適用) (理) 29条3項は、公の利益のためなされた個人の財産権への制約を、
全国民の負担に転嫁させることは平等原則の観点から望ましい点にある。
そこで
本件について検討すると、
もとより、身体は財産ではない。
しかし、身体は財産よりも重要な利益であるから、身体へ加えられた不利益を甘受する理由はない。
そして、
予防接種は伝染病防止という公の利益にそぐうべく行われるものであるから、
その際に加えられた不利益を全国民の負担に転嫁してよい。
Ｑ本条は行政手続にも適用(準用)されるか
→肯定
(理)もとより、§31は「その他の刑罰を科せられない」としており、刑事手続の規定である。
とすると、行政手続に及ばないはずである。
しかし
資本主義発達に伴い発生する矛盾を回避するため、行政権の役割が飛躍的に増大した。
その結果
行政手続による人権侵害の危険が顕著になっている。
しかも
行政手続でも刑事手続と異ならない人権侵害を伴う場合もある。
但し、行政手続の種類ごとに行政の円滑な運営の利益と適正手続とを調整すること
(理)行政手続の中には迅速性を要求されるものも多い。
事案 貨物の没収処分 → 第三者の財産が混じっていた → 第三者に財産権擁護の機会を与えないでいいのか？
被告人に対する没収により、第三者の所有権が剥奪される効果が生じる。
従って、第三者にも事前に告知、弁解防御の機会を与えるべき。
事案 税務署の質問検査権に基づく調査→ 令状主義、黙秘権の保障に反する
35条・38条の要請は行政手続にも及ぶ。
しかし
行政手続にも様々な種類があるから、その補償の程度は各行政手続ごとに個別的に考える。
そこで
税務署の質問検査権の合憲性について考えると
→合憲
(理)�� 実効性のある検査制度たるにはこの制度の存在は必要不可欠である。
�� 刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を有するものではない。
また
強制の度合いも低い。
本条は行政手続にも適用(準用)されるか【150】
§32の内容 (1)民事訴訟･行政訴訟においては
→国(裁判所)は、原告の訴えに対して必ず応答しなければならない
(裁判の拒絶の禁止･訴権の保障)
(2)刑事訴訟においては
→裁判所の裁判によらなければ刑罰を科せられないことを保障
憲§82-1の内容 (｢裁判の対審及び判決は公開法廷でこれを行う｣)
(1) ｢対審｣→当事者が裁判官の面前で自己の主張を述べること
(民訴→口頭弁論 刑訴→公判手続)
(2) ｢判決｣→判決の言渡し
(3) ｢公開｣→傍聴を許すこと
訴訟記録の閲覧を許すこと
非訟事件と公開裁判(ｓ40,6,30)
Ｑ 家事審判手続においては非訟事件手続法が準用されている。(家審§7)
ところが
非訟事件手続では裁判の対審･判決･公開を定めた規定がない。
そこでは、非口頭弁論･決定手続･非公開で手続が進められる。
ところが
憲§82は対審･公開の裁判を要求している
そこで
もし§32が§82の保障を含むものなら
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この手続は憲§32に違反するのではないか
積極的的側面→国に積極的な作為を請求できる
(1) 自由権との違い (2) 受益権との違い (3) そのような違いが生ずるのは何故か。
→(1) プログラム規定説(判例)(国家の努力目標を示したにすぎず、当該規定に法的拘束力はない)
(批) §25がわざわざ権利として明示して保障しようとした意味を無にする
(2) 実定的権利説 �� 抽象的権利説
�� 具体的権利説( → 裁判所によって強行的に実現されうる権利)
抽象的権利説(原則)例外 Ｑ具体的権利性の検討
行政処分の合憲性を争う場合
法律の規定の合憲性を争う場合
立法の不作為の合憲性を争う場合(生存権を具体化する立法がなされないとき、裁判所に下記の請求ができるか)
Q 不作為の違憲確認訴訟
→×
(理)かかる形態の訴訟を認める規定が現行法上存在しない。
しかも
かかる訴訟が認容された場合、判決にいかなる効力を認めるかが問題である。
すなわち
判決に法的効果を持たせ、立法の義務づけを命ずるものであるならば、
国会の立法権を侵害するおそれがある。
一方
単に違憲であることを確認するだけであれば、何の救済効果もなく、意味がない。
Q 国家賠償請求
→ 下記の要件でのみ認められる
�［�法義務があることが明白であること ��義務が発生したときから現在までに立法措置をなす合理的期間が経過したこと
(理)その時点における最低限度の生活がいかなるものかはある程度客観的に定めることができる。
とすれば
立法によって実現されている現状が客観的基準から著しく逸脱している場合には、
社会的弱者側に損害を観念することができる。
しかし
直ちに違憲とするならば、やはり立法権を侵害するおそれがある。
Q1 2項を1項と分離して解釈してよいか【153】
(1)肯定説(佐藤) (2項は国の責務に対応した権利を保障した規定である)
(2)不定説(通説) (２項は権利を保障した規定ではない)
1項は生存権を権利として、保障した規定である。
2項はそれを受けて、生存権の実現を国に責務として課す規定である。
Q2 肯定するなら、その場合の合憲性判定基準 1項→厳格な基準 →�〔榲�が重要で、
�¬榲�と手段との間に実質的な合理的関連性があること
2項→合理性の基準
事案 障害福祉年金と児童扶養手当との併給禁止 → 児童扶養手当の受給申請を却下
(1) 憲§25の問題( Q 併給禁止規定は憲§25に違反しないか)
Q 併給禁止規定の合憲性判定基準
厳格な基準で判断すべき→�〔榲�が重要で、
�¬榲�と手段との間に実質的な合理的関連性があること
そこで
q 併給禁止規定の目的は、財政の適正な運営であり、その目的は重要である。
しかし
q その手段として、併給を禁止することが合理的か。
→不合理である (理)障害者は障害者年金によって最低限度の生活が保障さる。
同様に
寡婦である場合は児童福祉年金が支給されて初めて生活が保障される。
従って、
その併給を禁ずることは二重のハンディを持つものにとって不合理な取扱をなす。
(2) 憲§14の問題( Q 児童扶養手当の不支給は、障害福祉年金受給者を不当に差別するものではないか)
※内容
�々駝嘘銅�が自己の人格を完成するために必要な学習をする権利を有する。
のみならず
�∋匐，�教育を施すことを大人に対して要求する権利まで保障している
Ｑ 学力テストは教師の教育内容決定権を侵害するか
※ 義務教育の無償制【154】
Ｑ 教育の自由(教育内容を決定する権能は誰にあるか)(教育権の所在)【155】
→親,教師,国
教育の自主性が確保されるべきであるから、親及びその委託を受けた教師に教育権がある。
しかし
義務教育では、一定水準の教育内容が確保されなければならない。
しかも
児童生徒には教育内容を批判する能力がないし、学校・教師を選択する余地も乏しい。
従って
親・教師に教育の自由を全面的に認めることはできない。
必要かつ相当と認められる範囲において国家は教育内容について決定できる。
1 法的性格 消極的的側面→正当な権利行使に対しては刑事処罰されない(刑事免責)
(労組§1-2→刑§35)
積極的的側面→�� 使用者の経済的自由権(契約の自由,財産権)を
勤労者に有利に修正しうる(民事免責)
�� 勤労者は国に積極的措置を講ずることを要求できる
(不当労働行為制度)(労組§7,27)
2 内容
団結権 →労働組合を結成する権利
その保障として �� 組織強制(ショップ制)
�� 統制権(除名･権利停止･制裁金の賦課)
団体交渉権 →使用者と交渉する権利(使用者は交渉に応じる義務を負う)
交渉による合意事項を労働協約として締結できる
団体行動権 →争議権
3 享有主体→｢勤労者｣(§28)
｢勤労者｣とは → 賃金･給料その他これに準ずる収入によって生活する者(労組§3)
※ 労働争議権の限界
※国家公務員の労働基本権(全農林警職法事件)
Ｑ 労働基本権の保障(憲§28)は公務員にも及ぶか
→及ぶ
Ｑ 公務員の労働基本権の制約原理は何か
→地位の特殊性(｢全体の奉仕者｣)
職務の公共性
勤務条件法定主義
人事院勧告という代替措置
Ｑ 国家公務員法§98･110は違憲ではないか
合憲性判定基準
→過度に広範な規制故に無効の理論が適用されるのではないか
合理的限定解釈の理論が適用されるのではないか
※ 労組の統制権と立候補の自由(政治活動の自由)との限界
三井美唄炭坑事件
本問では団体の内部統制権と、構成員の立候補の自由が対立利益を構成している。
まず
内部統制権は、使用者との対等な地位を労働者が確保するために不可欠な権利であるから、強度の保障が与えられる。
一方
立候補の自由は選挙権と表裏をなす権利であるから、一五条によって保障される。
かかる権利は民主制の過程を支える重要な権利であるから、その保障もまた最大限度なされねばならない。
いずれも重要な権利である以上、いずれが優先するかは、比較考量によって決すべきである。
本問を検討すると、立候補を思いとどまるよう勧告又は説得をなす事は正当な統制権行使といいうる。
しかし
その域を越え処分をすることは立候補の自由を過剰に侵害するものであり、許されない。
→選挙権の行使と表裏の関係にあり、１５条１項により保障される
→�々饑�に関する自己の意思を表明できるという個人の主観的権利であり かつ
��機関としての公務である
(理)�△陵�由
選挙権は立憲民主主義国においては代表民主政を支える不可欠の前提
(主観的権利だからといって全ての人が棄権すれば民主政は崩壊する)であり
通常の権利とは違った特殊性がある。、
また
公正かつ効果的代表という観点から具体的な選挙制度のあり方についての配慮も必要である。
＊公務としての側面から、
強制投票制や具体的選挙制度につての国会の広い裁量を導くことも可能である しかし この立場にたっても、 選挙権が民主政の不可欠の前提をなすことを重視し、 立法裁量を狭く考えることは可能。
→ 違憲である
(理)
選挙権は自己の政治的意見を国政に反映させる重要な権利であり、 これが害されると民主制の過程では回復が不可能である。 ４７条は選挙に関する事項は法律により定めるとするが、 その立法裁量は無制限ものではなく、 すべての者に平等に選挙権が保障されるよう選挙制度を定める必要がある。 そして、 形式的にこれが保障されるだけでは足りず、実質的にこれを保障する必要があり、 在宅投票制度の廃止は身体障害者等に事実上選挙権を奪うのと等しい。 とすれば 在宅投票制度の廃止は、 これをやむをえないとする合理的理由があり、 かつ 他により制限的でない手段が存しない場合に限り許される。 本問はどうか 廃止の目的は、不正の横行・・で合理的理由はある。 しかし その手段はより制限的でない他の手段(監視の充実、罰則の強化等)が存在し、 これにより達成可能。
→肯定
(理)もしこの場合に認められないとすると、
他の正当な選挙人の投票の秘密を害するおそれがある。
したがって
これらのものについても、
その投票が誰に対してなされたか取り調べてはならない
"＊選挙犯罪にかんする刑事手続との関係
選挙の公正の保障を目的とする選挙犯罪の捜査の必要性と投票の秘密の保障の要請は ともに憲法上のものであるが、 投票の秘密が民主制の過程にかかわる選挙権の適正な行使の不可欠の前提であることに鑑みると、 原則として後者が優位する。 ただ、 およそ一般的に投票の秘密が優先すると考えるのは妥当でなく、 個別的な事案に応じて投票の秘密に重きを置きながら両者を比較衡量して捜査が許されるか否か決すべきである。"
選挙制度は法律事項とされている。(§47)
Ｑその際立法府の裁量の範囲をいかに考えるべきか。
選挙権は、国家の機関を選ぶ公務という性格を否定できない。
しかし、選挙権は民主主義を支える重要な基本権である。
すなわち、選挙権は公務であると同時に権利である。
従って
選挙に関する立法について国会の裁量は全くの自由ではない。
むしろ、立法の合理性は厳格に判断すべきである。
Ｑ それでは、在宅投票制度の廃止は違憲か
→違憲
(理)個人の価値は平等であるから、選挙に関する事項は平等原則に則る必要がある。
従って、
身体障害で投票に出かけることが困難なものにとって、
投票現場自署主義は選挙権を奪われるに等しい。
本制度廃止の目的は不正の多発を是正する点にある。
しかし
かかる目的は、個別的対応で対処すべきである。
Ｑ1 定義
Ｑ2 根拠
�� §13説 �� 前文説
Ｑ3 性格
Q1 法規範性が認められるか) Q2 裁判規範性が認められるか)
"§9-1.png"
(1)｢戦争の放棄｣
Q1 目的により許されるのか(自衛戦争をも放棄しているか)
Q2 ｢武力｣との相違(許容されている｢武力の行使｣とは)
"§9-2.png"
(1)｢戦力不保持｣
Ｑ｢戦力｣とは
Q1 自衛隊は該当するか
Q2 日米安保条約に基づく米合衆国駐留軍はどうか
(2)｢交戦権の否認｣
Ｑ§9-2｢交戦権｣とは→ 交戦国に通常認められている諸権利(狭義説)
