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弁護人 ⇒ 刑訴につき選任されて専ら被疑者・被告人のために弁護をなすことを任務とする者
※国選弁護人;裁判所または裁判長が選任する弁護人

○一般的役割 (弁護権保障の趣旨)
刑事訴訟法は、当事者主義的構造を採用している。
にもかかわらず、
被告人の防御能力は劣弱であるから、被告人の地位を実質的に対等化する必要がある。
そこで、
被告人に弁護権を保障し、資格ある弁護人が代理人のみならず、保護者の役割を果たすことが期待される。

○権限の法的性格

◇国選弁護権
1、被告人の多くは裕福とはいえないから、
私選弁護人の選任の機会しか与えられなければ、弁護人依頼権保障の実質が損なわれる。
そこで、憲§37-3、36条、37条289条2は国選弁護権を保障している。
上記の趣旨から、
国選弁護の放棄は事情を熟知して、明確に請求権を放棄した場合のみ可能である。

また、
国選弁護権によって、はじめて真に弁護人の援助を受ける権利が実質上保障されるから、
弁護人選任権の告知、公訴提起後、請求を照会し、回答を求める手続きを踏むことが必ず要求される。

2、国選弁護人選任の法的性質
→ 国選弁護制度の保障を実効あらしめるための、裁判長の行う命令

したがって、国選弁護人の自発的な辞任はできず、解任命令によらなければならない。

Q 「正当な理由」とは
→ 信頼関係の喪失は含まれず、
   信頼関係は、客観的信頼関係があれば足りる
 (理)弁護人の恣意や被告人による弁護人のえり好みを許すのは不当だからである。

◆弁護人への退廷命令(暴言をはいた場合など)の根拠
→法定の秩序を維持するための相当な処分(§288-2)にある。
(理)右条文は、裁判官に法廷の秩序を保ち、適正手続を維持するための手段を与えたものである。
かかる趣旨実現のためには、弁護人にも本命令をなしうると解すべきである。

◇必要的弁護制度

Q1 冒頭手続きも弁護人がいなければ開廷できないか(289-1項)
→許されない
(理)
冒頭手続きで、審判対象を明らかにするための求釈明、形式裁判の主張は
法的知識に優れた弁護人でなければできない。

Q2 被告人が弁護人の出頭確保を妨げる事態を生ぜしめ解消が困難な場合でも
弁護人不在廷のままの公判審理は不可能か。
→可能である
(理)
必要的弁護制度は弁護権を後見的に保障する点にあるが、
このような場合被告人を保護する必要がない。
また、この場合実効ある弁護活動も期待できない。

◆例外の要件
1 裁判所が弁護人出頭確保のための方策を尽くしたにもかかわらず
2 被告人が弁護人の出頭を妨げるなど、公判審理ができない事態を生じさせ
3 その事態を解消することがきわめて困難な場合

○義務、特に真実義務
Q 弁護人は有罪を確信するとき、無罪弁論することは許されないか。
→証拠不十分による無罪の主張は可能である
(理)
弁護人の職務は被告人の保護にあり、
真実の発見は、裁判官・検察官に任される。
とすると、積極的な真実義務を負うとすることは制度自体を否定するものである。
したがって、弁護人は消極的な妨害回避義務を負うに過ぎない。
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