![[shitumunote]](image/pukiwiki.png "[執務ノート]")
| 目次 |
Ｑ 公判審理の範囲は何か
(1)公訴事実説 (理)職権主義的訴訟構造論
(2)訴因説(判例)(平野)(理)当事者主義的訴訟構造論
(理)不告不理の原則、当事者主義の採用からすると、審判対象は検察官の主張である
訴因→起訴状に記載された具体的事実(検察官の主張は起訴状に明示される訴因である。)
２、このように解した場合
(1)公訴時効の停止する範囲も訴因の範囲とされるか
→否定
(理)
公訴時効の停止は、公訴の存在の付随的効果であるから、必ずしも一致させる必要はない。
また
(2)判決効は訴因の範囲に限定される
ただし
一事不再理効の範囲は公訴事実を同一にする範囲に及ぶ。
(理)
訴因変更可能な範囲で、処罰の危険にさらされるからである。
→公訴事実は、訴因変更の限界を画する機能概念に過ぎない（312-1）
| 派生論点 | 訴因説 | 公訴事実説 |
| 訴因の意義 | 検察官の主張する事実 | 嫌疑の内容たる法的事実 |
| 訴因の機能 | 審判対象の特定のため | 被告人の防御のため |
| 特定の基準 | 厳格 | 緩和 |
| 訴因変更の要否の判定基準 | 訴因の同一性 | 被告人の防御上必要性 |
| 変更の限界の基準 | 訴因共通説(平野) | 自然的事実同一説 |
| (｢公訴事実の同一性｣の判定基準) | 刑罰関心同一性説(田宮) | 罪名同一説 |
| 訴因逸脱認定の効果 | 絶対的控訴理由(§378��) (理) ｢審判の請求を受けない 事件｣を判決したから | 相対的控訴理由 (§379) (理) ｢訴訟手続の法令違反｣ |
| 裁判所の変更命令義務 | ×(原則) (理) 審判対象の提示は､ 検察官の任務であるから | ○ (理) 裁判所は､公訴事実の全部を 審判する権利義務を有するため |
| 変更命令の形成力 | × 検察官が訴因を変更しない 限り変わらない | ○ |
| 訴訟条件の有無の判定基準 | 訴因 | 公訴事実 |
(Q2 これを認めると被告人に不利益となるか)
Q そもそも訴因を構成するものは何か
事実記載説((通説))
法律構成説
Q 訴因の機能(どのような機能をはたすか)
Q1 どのような場合に必要となるか
Q2 訴因の同一性の判定基準(訴因変更が必要となる基準)
→被告人の防御活動にとって重要な変化が生じる事実の変化を基準とする
(理)法的評価は罰条の記載に期待されるし、
審判対象としての事実を問題にしなければ訴因制度の意義が没却される。
(1)罪数の評価が食い違った場合
→不要
(理)罪数の評価は、法律の問題である。
(2)事実変化を伴う場合(一罪として起訴されたが、実体法上二罪たる併合罪であることが判明した場合)
審判対象となしうるためには、数罪のすべてに検察官の訴追意思が認められる必要がある。
では、この場合にこれを認めてよいか
→肯定
(理)
起訴事実の中に数個の犯罪事実が含まれると認められる記載ある以上、
検察官の訴追意思は認められる。
次に、このような訴因の記載は、訴因の特定の要求に反しないか。
→反しない
したがって
訴因変更のみで対応すべきである。(理)被告人に防禦上の不利益がある。
(3)事実変化がない場合(数罪が一罪と評価できる場合)
→訴因変更･補正は不要 (但 一個の訴因と解釈できなければ、補正を要する)
(理)
事実の法的評価は裁判所の自由であるから
Ｑ 前方不注意の訴因で、一時停止義務違反の事実と認定できるか)
→訴因変更を要する
(理)
過失犯における過失の態様に差異があれば、法律的な意味が違ってくる。
また
過失の態様は、被告の防御にとって大きな意味がある。
縮小認定する場合、事実の変更を伴うが、訴因変更は不要である。
(理)
被告人の防御に影響を与えないからである。
ただし、
当初から告訴がない場合には強姦致傷罪を親告罪である強姦罪に縮小認定できない。
(理)
強姦罪について訴訟条件がない以上、検察官の訴追意思は看取できない。
被告人の具体的防御を害しない場合にも訴因変更は必要か
→ 訴因事実と認定事実を対比し、一般的に被告人の防御に不利益を及ぼすかで考える
(理)
このように解すれば、訴因変更が不要な場合を
一般的に防御活動が及びうる範囲に限定できるからである。
Ｑ いかなる場合に｢公訴事実の同一性｣があるといえるか
(1)自然的事実同一説
(2)罪名同一性説
(3)訴因共通説(平野)
公訴事実の同一性は、機能概念である
そして、その機能としては
訴訟経済をはかりつつ、被告人の防御を可能にし、
かつ
一事不再理効の効力の範囲を限定するものである。
かかる機能を果たすには
訴因を比較して、行為又は結果のいずれかが共通であるかをもって判断すれば足りる
(4)刑罰関心同一性説(田宮)
旧訴因・新訴因の間にどの程度の共通性があれば、狭義の公訴事実の同一性を首定できるか
公訴事実の同一性と具体的問題
→時機に遅れた訴因変更は許されない
(理)このような訴因変更は、被告人側に立証の努力や負担を課すものであり、
被告人の利益を著しく害する。
Ｑ 公訴事実の同一牲以外の点でも訴因の変更に制限を加えるのは当事者主義に反しないか
(Q1 何故に裁判所にこの権限を認めたのか)
Q2 これを認めることは当事者主義的公判構造に反しないか
Q1 裁判所はこの義務を負うか
→否定(原則) (理)審判対象の設定・変更権限は検察官にあるからである。
Q2 負うとすればいかなる場合か
�〜蠹�重大な事件で、
�∋�件の存在が証拠上明らかな場合
(理)
もし原則を貫いて原訴因を維持すると、裁判所は無罪を言い渡すしかない。
そうなると，新訴因について，検察官は一事不再理効の結果再起訴ができなくなる。
これは真実の発見の要請，司法的正義の要請に反する。
Q3 これを怠った場合の効果
→ 否定(命令は勧告的なものに過ぎない)
(理)命令に形成的効果を認めることは、当事者主義に反する
CF 罰条の変更
検察官が罰条をすすんで変更しない場合、裁判所は変更命令を発することになる。
この変更命令は裁判所の義務に属し、命令に形成力がある。
(理)
法令の適用は裁判所の職責であるし、適用法条も弁論の対象にすべきであるからである。
ただし
特に被告の防御に実質的な不利益が生じない場合は、罰条変更手続きは不要である
| 変更 | 設問 | 出典 | |
| 訴因と 罪数変化 | 一罪⇒数罪 | 強姦致傷罪で起訴された事件を審理した結果､ 裁判所は､強姦の事実は拠十分との心証を得たが､ 致傷の事実は存否いずれとも確信を得られなかった。 この場合に生じ得る問題点。 | (過去問S54-2) (下)P57 |
| Ａ宅で昭和48年５月３日､３万円を窃盗したとの事実で起訴されたが､ 審理の結果､１万円は､同年６月３日に窃取したことが判明した。 裁判所と検察官はどうすればよいか | (下)P59 | ||
| 数罪⇒一罪 | 昭和48年４月１日の住居侵入と同月３日の窃盗の２個の訴因で起訴されたが、 両者は同年４月１日になされ､かつ､両者は牽連犯であると判明した場合 | (下)P61 | |
| 管轄 | 地裁において傷害致死の起訴につき過失致死の心証を得た場合 | (下)P63 | |
| 簡裁において過失致死の起訴につき傷害致死の心証を得た場合 | (下)P64 | ||
| 簡裁において窃盗の起訴につき強盗の心証を得た場合 | (下)P64 |
