![[shitumunote]](image/pukiwiki.png "[執務ノート]")
利得償還請求権 → 手形上の権利が保全手続の欠缺または時効により消滅した場合に、 所持人が振出人、引受人または裏書人に対し その受けた利益の限度で償還の請求をなしうる権利 １ 法的性質 【227】 †
|
| 指名債権説 | 変形物説 (前田)(弥永) | |
| 利得償還請求権を手形に結合した権利であり、 手形上の権利が縮減したもの | ||
| (批) | 手形上の権利なら額面金額を当然に請求できるのにもかかわらず、 利得償還請求権の請求金額は手形の額面金額ではない。 |
Q2 手形上に表章されているか →否定
| 要件1 | 権利の存在 | |
| 要件2 | ｢手形上の権利が消滅｣ | Q1 他の全ての手形上の権利が消滅しなければならないか →不要 (手形上の権利が一部でも消滅すれば権利行使できる) Q2 原因関係上の権利も消滅しなければならないか →不要(変形物説) →必要(民法上の権利まで含めすべて消滅したことを要する) (理) 利得償還請求権が、公平上与えられる最後の救済手段である。 |
| 要件3 | ｢利得｣ | Ｑ ｢利得｣とは → 手形の原因関係上得た利益のこと【229】 Q 手形の転売・譲渡による差益 →×(この利益は取得するに正当な利益である) |
| 要件4 | ｢他の救済方法がないこと｣ | (Q そもそもこの要件が必要なのか ？) ((2)の争いに応じて、ここでも争いあり) |
要件(3) 利得 に関して(Ｑ ｢利得｣の有無)
Q1 支払のために手形を振出し、手形所持人が手形上の権利を消滅させた場合
(Q 振出人に利得はあるか。)(Q 原因関係上の債務を負っている場合でも利得ありといえるか？)
⇒否定 (理) 振出人は未だ債務を負っている以上、利得を得ていない。
Q2 支払のために手形を振出し、支払に代えて手形を裏書譲渡し、手形上の全権利が時効消滅した。
振出人・裏書人のいずれに利得があるか。
| (1)甲あり、乙なし説 | (2)甲なし、乙あり説 | (3)甲あり、乙あり説 | |
| (理) | 乙は手形を支払に代えて振り出して確定的に利益を得たから、 甲乙間の原因関係は消滅している。 | 乙は手形を譲渡した際の対価と甲への債権とを二重取りしている | 乙は確定的に利益を得た以上、原因債権の支払を請求する必要がなく、 甲は原因債務の支払を要しないから |
| (批) | 債権は民法に規定ある以外では、契約当事者の意思とは関係なく消滅しない。 従って、乙は未だ債権を持っている。 | 乙が甲に債権の履行を請求しないというのは単なる希望的観測に過ぎない。 また 遅延損害金等を考慮に入れるなら、 丙に不当利得として金銭を返還しても甲に請求した方が有利である。 従って、 法律上債務があるか否かといえば、未だ甲は乙に債務を負っている |
Ｑ2 小切手の場合の｢利得｣の構成 【234】
→権利消滅当時の手形権利者であること。
Q 失権当時に手形の所持(又は、これに代わる除権判決)が必要か
→不要(判例)
Q 手形の交付が必要か → 必要(通説)
(理)
�� 証券喪失者にとっては、
�� 善意取得者にとっては
�� 債務者にとっては
| (1) 方式【232】 | Q1 手形の交付が必要か →必要 Q2 民§46の対抗要件が必要か →不要 |
| (2) 効果 | Q3 善意取得､人的抗弁の切断が認められるか→否定 |
Q1 時効期間 【233】
法には時効期間の定めがない。
↓ 一般原則によると
×(1)10年説(民§)
(批) 長すぎて、手形決済の制度趣旨に合わない
↓ この点、手形債権なら
×(2)３年説(§77-1�─�70-1)
(批) but、手形債権そのものではないから準用できない
↓ そこで、商行為である｢手形に関する行為｣(§501��)によって生じた債権として
○(3)５年説(通判)(§522類推適用)
Q2 起算点 → 手形債権消滅時
→手形上の権利と同じ
