法令ノート/刑訴法/証拠/証拠裁判主義

⇒ 事実の認定は証拠によるとの原則（§317）

１制度趣旨 †

本条は、公訴犯罪事実は厳格な証明によらなければならないことを定める。

②｢事実｣とは、公訴犯罪事実を指す。
また、
②｢証拠｣とは、適法な手続を経た証拠能力ある証拠を指す。
(理)
事実の認定は、客観的証拠と合理的推論によって行わなければならない。
証拠は適法なものを予定する

	証明の対象		厳格な証明	自由な証明
	証明の対象		厳格な証明	適正な証明	(狭)自由な証明
刑罰権の存否を画する事実	構成要件該当事実	共同正犯の｢共謀｣	○
	違法性阻却事由		○
	有責阻却事由		○
	処罰条件･処罰阻却事由		○
刑罰権の範囲を画する事実	刑の加重･減免事由	･中止･自首･累犯前科	○ 適正手続が保障されるには、全事実に要するはず。しかし、それでは訴訟遅延を招く。そこで、左記範囲にとどめる。
上記以外	情状事実		× 犯罪事実とは異なるため	○(注1)
	訴訟法上の事実	自白の任意性	○ これは訴訟法上の事実 ↓∴ 本来は自由な証明 ↓しかし、被告人の利益保護	○(注2)
	訴訟法上の事実	その他	× 犯罪事実とは異なるから		○

(注1):被告人に異議があれば、証拠能力の制限が復活し、公判廷で証拠を示して意見弁明をきく
(注2):被告人に十分な防御の機会を与えること。

アリバイ(被告人の犯罪現場不存在を推認させる間接事実)は、厳格な証明の対象になる
(理)
①条文上「犯罪事実の存否」と規定する（322-1項3号）以上、有利な証拠も含む。
②これを認めても、被告人に過度の負担を課すものではない。(被告人に有利な事実は証明度が低くてよいから)

量刑に関する訴訟法上の問題点
量刑事情の証明方法
量刑事情の証拠
被告人の黙秘を量刑事情とできるか
量刑理由の説明の要杏