上訴 ⇒ 未確定の裁判に対して上級裁判所に是正を求める不服申立
上訴の要件 †
(1)上訴権者が (2)上訴の利益を有し (3)この権限の存続中に (4)申立をしたこと |
Q上訴の利益
被告人の上訴には、上訴の利益が必要とされる。(∵明文はないが、不服申し立て制度であるから当然)
Q上訴の利益の判断基準
→法律的・客観的基準による(∵基準が明確性)
例題 | 上訴の利益 | (理) |
軽い破廉恥罪に対し、重い非破廉恥罪を主張して上訴 | × | 法律的利益がない |
形式裁判に対して無罪を求めて上訴 | × | 裁判手続から迅速に解放されることが 第一の利益であるから |
2 効果 †
(1) 裁判の確定および執行が停止する(停止効)
(2)事件の訴訟係属が上訴審に移る(移審の効力)
上訴の範囲 → 原裁判の全部 †
上訴は原裁判の当否を問題とするものだからである。
Q では、被告人が科刑上一罪の有罪部分について上訴した場合、職権調査できるか(§392-2)
→できない
(理)当事者主義(256-6項、298-1項など)の建前からして、審理の対象は控訴趣意である
すなわち、無罪部分は攻防の対象からはずされるから、この部分について調査できない
一部上訴(§357)の範囲 †
公訴不可分の原則から、357条の妥当範囲は、主文が複数ある場合に限られる。
したがって、
科刑上一罪や、併合罪で全体として一個の刑が言い渡されたときは、一部上訴は認められない。